【FP監修】2019最新版! 学資保険は節税に? 税金対策を紹介

 専門家監修
公開日:2019/09/27
更新日:2019/10/01
【FP監修】2019最新版! 学資保険は節税に? 税金対策を紹介
監修
山田静江先生

子どもの将来のため、コツコツ積み立てている学資保険。満期になればまとまったお金を受け取れるので、教育資金を準備するにはぴったりの方法です。しかし、学資保険にまつわる税金のことは、意外と知らない人も多いはず。支払った保険料って控除を受けられるの? 満期金には税金がかかるって本当? ファイナンシャル・プランナーの山田静江先生にお話を聞きながら、さまざまなギモンにお答えします! 

学資保険と税金の関係について知りたい!

学資保険と聞くと、お金を積み立てられるので貯金のようなイメージがありませんか? しかし実際のところは生命保険の一種で、所得税や住民税、贈与税など、さまざまな税金と関わりがあります。
学資保険にまつわる税金で、知っておきたいことは大きく分けて2つ。「支払った保険料に関する税金」「満期金に関する税金」です。それぞれの税金について詳しく解説していきますので、どんなときに税金がかかるのか、しっかり把握しておきましょう。

学資保険は、所得控除の対象になる? 

まずは「支払った保険料に関する税金」について。学資保険とは、実際どんな保険なのか、そして支払った保険料は控除を受けられるのか、詳しく見ていきます。

学資保険は、生命保険の一種

学資保険は、お金を貯めることに目がいきがちですが、契約者が死亡したり、高度障害状態になったりすると、その後の保険料が免除になり、学資金を全額受け取ることができます。つまり、学資保険は生命保険の一種であると言えます。

生命保険は、所得控除の対象になる

所得控除にはさまざまな種類がありますが、今回覚えておきたいのが「生命保険料控除」。これは支払った保険料のうち、一定の金額が所得から差し引かれる制度。そして、保険料を細かく分類すると「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」に分けられ、学資保険は「一般生命保険料」に分類されます。

少し遠回りな話になってしまいましたが、結論を言うと、学資保険は所得控除の対象になるということです。

※分類はあくまで一例です。契約している保険がどれに分類されるかは、名称に関わらず保障内容によって異なるため、分からない場合は生命保険会社に確認しましょう。

■そもそも「所得控除」って……何?■ 
「控除」は、金額などを引くという意味。そして「所得控除」は、所得額から一定の金額を差し引くことを意味しています。所得控除の種類については、生命保険控除のほか、基礎控除、医療費控除、社会保険料控除、雑損控除など多種多様。すべてを把握するのは難しいですが、共通して言えることは、所得控除を受けると払うべき税金(所得税や住民税)が少なくなるということ。節税にもつながるので、自分に当てはまるものがないかチェックしておくと良いでしょう。

学資保険の所得控除に関する注意点は?

学資保険は所得控除の対象になると分かったところで、次は注意点をチェック! 契約した時期によって控除額が変わったり、会社員と自営業では手続きが違ったりするので、きちんと控除を受けるために覚えておきましょう。

【注意その1】契約時期によって旧制度と新制度がある

平成22年度税制改正により、生命保険料控除制度が改正され、契約日が平成23年12月31日以前は旧制度、平成24年1月1日以降は新制度となりました。大きく変わったことは2点で、以下の通り。

①控除が2種類→3種類になった。
旧制度では「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」の2種類しかありませんでしたが、新制度では新たに「介護医療保険料控除」が加わり3種類になりました。

②控除額が改正された。
下の表の通り、所得税・住民税ともに控除額が変わっています。ここでは、最大でいくら控除を受けられるのか、限度額を表にまとめてみました。
「介護医療保険料控除」が加わった分、それぞれの限度額は減っていますが、2種類→3種類になったことで合計の限度額は増えていることが分かります。ただし、住民税の合計限度額だけは変わっていません。それぞれの限度額は最大2.8万円ですが、3種類を合計すると、最大8.4万円ではなく最大7万円になるのでご注意を! 

【注意その2】旧制度と新制度では、控除額が違う!

【注意その1】では上限額を紹介しましたが、ここでは上限までいっていない人のために、保険料と控除額の一覧表を用意しました。保険料に応じて控除額が決まっているので、表を見ながら計算してみましょう。最近はインターネット上で控除額の計算ができるソフトがあるので、それを利用するのもアリ! 
もし、自分の契約している学資保険が新旧どちらか分からない…という人は、生命保険会社から年末に送られてくる「生命保険料控除証明書」に制度の区分が記載されているので、一度確認してみて。

【注意その3】ほかの生命保険で限度額を超えていると、所得控除は受けられない

学資保険は「一般生命保険料控除」の枠に入りますが、ここには死亡保険なども含まれており、加入している保険の合計額で控除を受けることになります。そのため、すでに死亡保険に入っていて、上限額まで控除を受けていたら、これから学資保険に入っても控除額は増えません。上限額は、年間の保険料が旧制度で10万円超、新制度で8万円超。この金額を見ると、何かひとつ保険に入っていたら上限額に達している可能性が高いので、追加で保険に入っても、節税という面ではメリットがないかもしれません。

【注意その4】契約期間によっては控除が受けられない場合も!

保険会社によって異なりますが、契約して5年未満の生命保険の中には、控除の対象にならないものも。自分が加入している学資保険の控除条件について、よく調べておく必要があります。また、生命保険の中には制度に該当しない部分があったり、種類によって対象外になったりする場合もあります。分からないことがあったら年末に送られてくる「生命保険料控除証明書」を見て確認を! 

学資保険で所得控除を受けるための手続きは?

所得控除を受けるためには、生命保険会社から毎年送られてくる「生命保険料控除証明書」が必要。この証明書、会社員の人は年末調整に、自営業の人は確定申告に使用します。それぞれの手続き方法はこちら! 

会社員

契約している学資保険の「生命保険料控除証明書」を勤務先に提出。所得控除の手続きは会社のほうで代行してくれるため、提出さえしていれば控除を受けられます。もし忘れてしまった場合は、自分で確定申告をすればOK。昔のものであっても、保険料を支払った翌年1月1日から5年間は、過去に遡って「還付申告」という方法で還付を受けることができます。

自営業

自営業の場合、税務署へ行って確定申告を行います。確定申告書に「生命保険料控除証明書」を添付し、提出すれば完了です。

学資保険の満期金には税金がかかる?

次は「満期金にかかる税金」について。結論から言うと税金がかかるケースはほとんどありません。ただ、契約の仕方や、受け取り方によって税金の種類が違ってきたり、それによって税金がかかってしまったりすることも。どんなときに税金がかかってくるのか、しっかり把握しておきましょう。

「保険料を払う人」「受取人」「受け取り方法」によって税金の種類が変わる!

まず確認しておきたいのは、「誰が保険料を払っているか」「誰が満期金を受け取るのか」ということ。これが同一人物なら、かかる税金は所得税。別人なら贈与税がかかります。また、所得税の中でも「どんな受け取り方法か」で違いがあり、一括で受け取ると一時所得、学資年金として毎年受け取ると雑所得になります。これらの違いで税金の金額も変わってくるのでご注意を!

学資保険の満期金に税金がかかる、3つの場合

【税金がかかる場合その1】50万円以上の利益がある

保険料を払う人と受取人が同じで、満期金を一括で受け取る場合、そのお金は「一時所得」という分類になり、課税対象になります(下の表①参照)。一時所得は、以下のような計算式で求めます。

ここでポイントとなるのは、特別控除の50万円。これのおかげで、満期金がたくさんもらえて利益が出たとしても、50万円までは控除されるので、税金がかかりません。
では、実際に数字を当てはめて計算してみましょう。下の例は、ごく一般的な学資保険の契約内容にしてあります。

計算してみたところ、一時所得はマイナスという結果になり、税金はかかりませんでした。昔の学資保険は返戻率がかなり高く、120%を超えるものもあったようですが、現在はどんなに高くても110%以下。このような状況だと、かなり高額な学資保険に入らない限り、利益が50万円を超えることはなさそうです。一般的な学資保険に入っている人は、ほとんど心配いらないでしょう。

もし50万円を超えた場合は、一時所得の半額が、他の所得と合算されて、課税対象になります。また所得税の税率は課税所得により異なりますが、仮に10%であれば、住民税の税率は一律10%なので、合計で20%の税金がかかります。つまり、下記で計算される金額の20%の税金を負担することになるのです。

【税金がかかる場合その2】満期金を学資年金として受け取る

学資保険の満期金といえば、大学入学時などに一括で受け取るのが一般的。しかし最近、大学在学中の教育資金として、入学から毎年決まった金額を分割で受け取る「学資年金」という方法も増えてきました。この学資年金は、年金と名付けられている通り、個人年金保険の年金などと同じように「雑所得」として課税されます(下の表②参照)。雑所得の金額は、以下の計算式で求めます。

これを見て「あれ?」と思った方も多いはず。それもそのはず、雑所得には一時所得のような「特別控除50万円」がありません。そのため、雑所得にはそのまま税金がかかってしまうのです。
では、この計算式に数字を当てはめて雑所得を割り出してみましょう。【税金がかかる場合その1】と同じ条件で計算しているので、比較してみてください。

計算の結果、雑所得は4万5千円となりました。学資年金は4年間受け取るので、その間は毎年この金額に税金がかかってしまいます。最終的には同じ金額を受け取っているのに、一時所得だと税金ゼロ、雑所得ではこの通り。受け取る方法によって税金がこんなにも違うのです。

ただし、契約者が会社員でもともと確定申告が必要ない場合、給与所得以外の所得が20万円以下であれば、その分の確定申告も不要になるので、結果的に税金はかかりません。自営業の場合は、収入をすべて申告しなければならないので、税金を払うことになります。

【税金がかかる場合その3】保険料を払った人と、受取人が違う 

学資保険の保険料を払った人と、満期金を受け取る人が違うと、受け取る人に贈与税がかかります(下の表③参照)。例えばパパが保険料を支払い、パパが受取人になっている場合は所得税。しかしパパが保険料を払い、子どもやママを受取人にしていると、学資保険を通してお金を贈与したと見なされ、課税対象になるのです。

では、計算式を見てみましょう。贈与税は、贈与された額から基礎控除の110万円を引き、残りの額を下の表に当てはめて税率を出します。税率表は夫婦間の贈与や親から未成年の子への贈与では、「一般贈与財産の場合の速算表」が適用されます。

※上記の速算表は、夫婦間や親から未成年の子への贈与の場合の表です。祖父母や父母から、20歳以上の子や孫への税率表は異なります。詳しくは国税庁ホームページの「贈与税の計算と税率(暦年課税)」を参照してください。

次に、数字を当てはめて贈与税を割り出してみましょう。夫から妻への贈与という前提で計算してみます。ここでも【税金がかかる場合その1】と同じ満期金200万円で計算しています。

満期金200万円で、贈与税は9万円という結果になりました。契約者本人が受け取れば税金0円だったのに、受取人が違うというだけでこんなに税金がかかってしまうのです。これはとってももったいない話! 保険料を払う人と受取人は同じにしておくのが無難でしょう。

やむを得ない事情で受取人は別にしたい、という場合は、満期金を含めた年間の贈与額が110万円以内におさまるようにしましょう。学資保険以外に贈与がなければ、満期金を基礎控除の110万円以内におさめることで税金はかかりません。

学資保険の節税対策について知りたい!

ここまで見てきて、学資保険は契約内容などによってさまざまな税金がかかることが分かりました。とはいえ、税金はできるだけ少なくしたいのが本音ですよね。そこで最後は、山田先生のアドバイスをもとに節税テクをご紹介! 少しでも多くの学資金が受け取れるよう、しっかりチェックして。

【税金対策その1】共働きなら夫婦それぞれで学資保険に入る

学資保険は家庭で1つ、と考えがちですが、複数契約しても問題ありません。とくに共働きの場合は、パパがすべて負担するより、パパとママがそれぞれ学資保険に入ったほうが節税になる場合も。

「学資保険は支払った保険料に応じて所得控除を受けられるのですが、1人につき年間で最大4万円と上限が決まっています。パパだけの契約なら最大4万円ですが、パパママなら最大8万円の枠が使えることになるんです(※)。もちろんほかの生命保険で上限額に達していたらもう使えませんが、まだ余裕があるなら節税になりますよね。また、税金とは関係ありませんが、夫婦で家計を支えている場合、どちらかに万一のことがあったとき保障が受けられるのは大きい。リスク分散という意味でも、夫婦で学資保険に入るのはおすすめです」(山田先生)

※新制度の一般生命保険料控除の上限額のこと。夫婦でそれぞれ最大4万円の控除を受けた場合の合計額。

【税金対策その2】加入している保険を見直し、不要なものを整理する

先ほど【税金対策その1】でも述べましたが、旧制度は最大5万円、新制度は最大4万円の所得控除を受けられます。しかし、学資保険が含まれている「一般生命保険料控除」の枠には、死亡保険や養老保険、収入保障保険なども含まれており、それぞれで控除を受けることはできません。すべてを合算した金額で控除を受けることになります。

「この枠は、学資保険に入る前から死亡保険などで上限いっぱいになっている人も多いんです。もちろん必要な保険なら良いのですが、もし不要なものがあったら解約してしまうのも手。学資保険は基本的に死亡保障が付いているので、今まで入っていた死亡保険を見直す良い機会かもしれませんね」(山田先生)

【税金対策その3】高額の学資金を受け取る場合は、途中で一部解約する

先ほど【税金がかかる場合その1】で触れた通り、満期金で50万円以上のもうけが出た場合、課税対象になります。今は学資保険の返戻率が低く、相当高額にならないと50万円以上の利益は出ませんが、もしその可能性があったら満期金を一括ではなく、分割して受け取るのがおすすめ。

「分割の方法として、満期になる前の年に保険を一部解約し、解約返戻金として受け取ることができるんです。先に一部を受け取っておけば、もうけが2年に分散されるので、それぞれ50万円までの控除が使え、税金もおさえられます。ただ、途中解約することで必要な時期に必要なお金が受け取れない、ということになっては本末転倒。どちらを優先させるか、しっかり考えて決めましょう」(山田先生)

結論…学資保険は節税になる?

学資保険は生命保険の一種なので、所得控除の対象になります。しかも、満期にまとまった金額を受け取っても、税金がかかることはほとんどありません。そういう意味では節税になると言えますが、だからと言って節税のために学資保険に入るのはおすすめできません。

「学資保険はあくまでも、子どもの教育資金を準備するためのもの。節税目的で入るのではなく、結果的に節税になることもあると考えたほうが良いでしょう。例えば所得控除にしても、ほかの生命保険で上限額に達していたら学資保険では使えませんし、必ず節税できるとは限らないんですよね。節税を狙いすぎて、無理なプランを立ててしまっては元も子もありません。最優先すべきは必要な時期に、必要なお金を用意できるようにすることです」(山田先生)

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取材・文/遠藤まゆみ

監修
山田静江先生
「損得だけではない、豊かな暮らしを送るためのマネープラン」をモットーに、講演や執筆など幅広く活躍中。

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