【水子供養】流産後のお参り方法は?服装や費用相場、神社に行くの?など解説

 専門家監修
公開日:2019/10/02
更新日:2019/10/05
【水子供養】流産後のお参り方法は?服装や費用相場、神社に行くの?など解説
監修
三浦尊明さん
山王山 本寿院 住職

流産や死産などで元気に生まれてこられなかった子どもの冥福を祈る儀式として『水子供養』があります。「どこでやるものなの?」「服装やお参り方法は?」など、わからないことも多いはず。専門家に『水子供養』はなぜ行うのか、費用相場など、詳しく教えてもらいました。

「水子」とはこの世に生を受けられなかった子のこと

「水子」いうと、流産や死産、中絶などでこの世に生を受けられなかった胎児を思い浮かべるかたが多いと思いますが、本来はこの世に生を受けられなった子どもや、生後間もなく亡くなった赤ちゃんのことをさします。

流産や死産で誕生できなかったお子さんも、事故や病気で亡くなってしまったお子さんも、みんな「水子」です。

『水子供養』とは

いつの時代も小さな子どもが亡くなって悲しまない親はいませんよね。

はっきりとした始まりは定かではありませんが、恐らく人類がこの世に誕生した時から、おなかの中で亡くなった赤ちゃんや、この世に元気で誕生できなかった子どもをなんらかの形で弔うことをやっていたと考えられます。

『水子供養』という言葉が使われるようになったのは昭和30年代ごろから。日本では、流産や死産などでわが子を亡くされる方だけでなく、社会状況の変化で中絶をされる方が多くなってきました。

その頃から『水子(見ず子)供養』という言葉が使われるようになり、お寺などで供養が行われるようになったといわれています。

なぜ『水子供養』をするのか

人が亡くなるとお葬式をします。仏教ですと、戒名を授け、仏弟子として導いていただくよう仏様に託し、極楽浄土で安心して暮らせるように願い、故人にお別れをします。

それと同じく、小さな子どもを亡くした場合も、「わが子を守ってあげられなかった」「元気に産んであげられなかった」という親が感じている気持ちを素直に伝え、次には、仏様にわが子を託し、仏様と結縁し、成仏を願います。

そうすることで成仏した水子さんは、先に極楽浄土に行っているご先祖とともに、この世にいるママやパパたちの幸せを祈るといわれています。

供養することでこの世にいるママやパパ、極楽浄土にいる水子さんがお互いに「ありがとう」という気持ちを持つことができるのです。

このように『水子供養』は、親が亡くなったわが子に「懺悔」「祈り」をし、お互いが「感謝」を伝えあうために行うものです。

「流産・死産」と「中絶」では供養の仕方に違いがある?

仏教では、精子と卵子が結合した瞬間を「命」と考えます。

そのため、流産も中絶も死産も同じ一つの命。わが子の成仏を祈る=供養なので、「流産だから供養できるけれど、中絶だからできない」ということはありません。

大人に当てはめてみても、交通事故など不慮の事故には供養をして、老衰で自然になくなれば何もしないわけではありませんよね。

死因や時期は関係なく、「一つの命」に対する祈りとして、『水子供養』を行いましょう。

『水子供養』ができる場所

本寿院の水子供養の場所画像

『水子供養』=亡くなったわが子に懺悔し、祈ることが大切なので、お寺、水子地蔵、ネットや自宅に仏壇を置いて、など、場所はどこでもかまいません。傾向としては、お寺で供養を行う人が多いです。

ただし、お寺の中でも宗派によって、『水子供養』を行っていないところもあります。また、中絶による『水子供養』を「親の身勝手な行動によるものだ」と考えているお坊さんもいます。

事前に『水子供養』をやっているかを調べておくといいでしょう。

■神社では

神社ではあまり『水子供養』を行っていませんが、「水子慰霊」として受け付けてくれるところもあります。

■キリスト教では

キリスト教ではそもそも中絶がNGとされている、またお葬式以降、故人を供養するという考えがないため、『水子供養』をしてくれる教会は少ないようです。(編集部調べ)

『水子供養』の方法

『水子供養』の方法はさまざまあります。

亡くなったわが子に対して感じている気持ちと感謝を、どんな形で伝えるのがいいかを考え、自分に合った方法を選ぶといいでしょう。

【手を合わせる】
近くの寺社に行って、手を合わせることも供養の1つです。

【自分で読経を唱える・写経する】
お寺の場合はお経を自分で唱える、お写経をすることも『水子供養』になります。

【お坊さんに読経してもらう】
お坊さんに読経してもらい、戒名を授けて位牌を建立する方法もあります。

【仏像を作る】
かつては造塔供養・造仏供養といって、供養のためにお寺を建立する、仏像を作ることがありました。「つちぼとけ」といって粘土でお地蔵さまを作って供養するお寺もあります。

増上寺などに小さな石仏のお地蔵さんがたくさん奉安されているのも、造仏供養の1つです。

本寿院の「つちぼとけ」画像本寿院では「つちぼとけ」を制作できる講座も。
体験料3000円~

『水子供養』を寺社にお願いするときの申し込み方法

「供養したい」と思った時に希望する寺社に連絡をし、予約します。

寺社によっては予約なしで毎日受付をしているところ、個別は予約が必要だけれど、合同の場合は不要など、人数や種類によって予約方法が異なる場合もあります。

ホームページや電話などで確認するといいでしょう。

『水子供養』の当日の流れと所要時間

どんな供養にするかによって流れや所要時間は異なりますが、一般的なお寺でお坊さんに読経してもらう場合の当日流れ、所要時間は以下の通りです。

1)予約の場合は決められた時間にお寺に行きます。10~15分前ぐらいに到着できるよう余裕をもって出かけましょう。


2)お寺に到着したら名前を伝え、受付を済ませます。


3)供養の方法にもよりますが、僧侶の読経の後、お線香をあげ、亡くなったわが子を祈り、感謝を伝えます。


4)法要後にお坊さんからの法話を聞きます。

この場合の所要時間はおおよそ30~50分程度と考えてください。

『水子供養』をするときの服装のマナー

できれば黒・紺を基調とした清楚な服装が望ましいでしょう。

ジーパン・短パン・サンダルなどの軽装では、仏様にも失礼にあたります。それだけでなく、周りの方が喪服など正装されている方が多い中、恥ずかしく感じてしまうこともあるでしょう。

法事ごとなので、清楚な服装を心がけてください。

『水子供養』のお供え物はどんなものがいい?

お供え物としては、お花や小さな子どもが喜びそうなお菓子などがいいでしょう。

わが子へのお手紙やエコー写真・母子手帳を添える方もいるようです。

また、骨を持っていくと一緒に供養してくれるところもあります。

ちなみに供養したお骨は、持ち帰って家の中でおまつりしてもいいですし、ご先祖さまと一緒のお墓に入れてあげても、どちらでもけっこうです。

『水子供養』の費用(お布施)の相場

【金額】
金額は供養の種類によっても異なります。おおよその目安が決められていて、ホームページやパンフレットに金額が記載されているところが多いので、事前に確認しておきましょう。

■ちなみに本寿院の場合

・永代供養(戒名を授けて位牌を建立し、永代に供養)…35,000円
・戒名供養(戒名を授けて過去帳に戒名を記して永代に供養)…20,000円
・読経供養(読経にて供養)…10,000円

その他、エコー写真を供養する「エコー写真供養」(1,000円/1枚)、「石仏を奉安」(10万円)などもあります。

【お布施を入れる封筒の書き方】

お寺へは供養のお礼として「お布施」を渡します。不祝儀袋の表書きは「お布施」とし、水引の下にママやパパの苗字を書きます。裏面に金額を書くと、より丁寧です。

【お布施を渡すタイミング】
お布施は供養をしてもらった対価としてお支払いするのものではないので、できるだけお寺に到着し、受付をするタイミングで渡すのが通例です。

『水子供養』でよくある質問

水子供養のイメージ写真

『水子供養』についてよく寄せられる質問、人には聞きづらいことをピックアップ。住職に答えていただきました。

『水子供養』は秘密厳守で行えますか?

お寺によっては、個別での法要や、匿名での供養を受け付けてくれるところもあります。

また、誰にも知られないように夜、一組だけの供養を行ってくれるところもあります。

『水子供養の』あと、赤ちゃんはどこへ行くのですか?

仏教でいうと、供養することで仏のお弟子さんとなり、極楽浄土からご先祖さまと一緒にママやパパを見守ってくれる存在になります。

亡くなった赤ちゃんもお盆には帰ってきますか?

お盆には帰ってきてくれるので、お迎えをしてあげ、赤ちゃんと過ごせる時間を満喫してください。

また、精霊棚(祭壇)をつくり、赤ちゃんのことを偲んで盆踊りを踊るのもいいでしょう。

そしてご先祖さまを見送るために行われる「京都五山の送り火(下記参照)」と同じように、ご自宅でもお盆最後の夕方に赤ちゃんを見送るセレモニーをしてあげましょう。迎え火をした場所と同じところで火を焚き(送り火)、見送ってあげてください。

■「京都五山の送り火」とは

お盆で帰ってきている精霊を見送る、京都を代表する伝統行事です。炎で作られた「大」、「妙・法」、「船の形」、「鳥居の形」などが京都の山に浮かび上がり、それを見ながら合掌して精霊を見送る行事です。それをコンパクトにしたものが、ご自宅で行う「送り火」です。

あの世で親がいなくて、子どもは寂しくないですか

命あるもの、いずれ亡くなります。それは私たちも同じです。供養してあげることで、仏の弟子となり、ご先祖さまと一緒に過ごすことができるので、寂しくはないので安心を。

また、水子さんも小さな手を合わせ、仏様のところからママやパパが元気に楽しく過ごせるよう祈ってくれているでしょう。

供養後、親としては日々何ができるでしょうか

赤ちゃんのことを思い出してお祈りしてあげてください。仏壇がなくても大丈夫です。仏壇がある場合は、お花やご飯をお供えしてください。

また、私たちには誕生日がありますが、水子さんにはありません。なので、命日は覚えてあげましょう。

毎日のお祈りが難しい場合は、せめて命日には、わが子のために祈ってあげてください。

命日がわからないというかたは、『水子供養』した日を命日とされるといいでしょう。

都合で中絶しましたが、赤ちゃんは許してくれますか?

中絶したことをママがずっと悩んでいる姿を赤ちゃんは見たくないでしょう。きちんと供養をして赤ちゃんに懺悔をして祈ることが大切です。

四十九日などの法事は必要ですか?

四十九日は仏教でいうとご先祖さまの仲間入りをする日です。絶対ではないですが、赤ちゃんと向き合う時間にもなるので、可能な限り行うといいでしょう。

『水子供養』は父親、母親両方でしたほうがいいのでしょうか?

『水子供養』を行い、赤ちゃんに心を傾ける時間を持つことが大切ですので、必ず両親がいなければいけないわけではありません。

「昔の彼との間の水子さんなので内緒で水子供養したい…」というケースもあるので、そういった場合も、ママ1人だけでも構いません。

数年前の『水子供養』を、今してもいいですか?

「○年○月までに供養しないといけない」という決まりはありません。「供養したい」と思ったときにしてあげることが大切です。水子となった我が子が気づかせてくださっているのかもしれません。

御札はしまっておくべきでしょうか、それともおまつりするのがいいですか

仏壇などおまつりする場所があるなら、まつってあげてください。

無い場合は、部屋にある棚などの上に、ろうそくやお線香、お花と一緒にお札をまつりましょう。

御札やお守りはいつまでおまつりすればよいでしょうか

通常、お札やお守りは、1年で新しいものに変更します。しかし、『水子供養』の魂が宿ると考えられている位牌やお札は、生きている子どもと同じように、ママやパパの命がある限りずっとおまつりしてあげてください。

『水子供養』したあと、どれぐらいで妊娠してもいいですか?

子どもは授かりものです。どのくらい期間をあけないといけないということはないので、自然に任せましょう。

次の子ができたとき、亡くなった赤ちゃんが悲しむことはありますか?

次の子どもが授かったことで、水子さんが悲しむことはありません。ママが喜ぶ姿を見ることができて、水子さんもうれしいはずです。

また、『水子供養』に子どもを連れて行っていいか戸惑うかたもいますが、やきもちをやくことはありません。水子さんにとって兄弟に当たるので、陰ながら見守り支えてくれるでしょう。

『水子供養』はしないほうがいいと聞きました。本当ですか?

そんなことはありません。「水子=見ず子」ともいわれ、親が供養しないと、誰からも思い出してもらえなくなってしまうことがあります。

無縁仏とならないよう『水子供養』をし、気持ちと感謝を伝えてあげましょう。

【体験談】『水子供養』私はこうしました

ネットで供養してくれるお寺を探し、一人で手を合わせました(Yさん・当時20才)

学生だった20才のとき、同時つき合っていた彼氏との間に子どもできたのですが、中絶を選びました。手術のあと、ネットで『水子供養』をしてくれるお寺を探し、一人で手を合わせに行きました。本当は二人で行き、お経を唱えていただくのがよかったのだと思いますが、当時は周囲の目が気になり、申し込めませんでした…。今でも神社やお寺の前を通るときは、いつも手を合わせています。

観光で訪れたお寺の水子地蔵がきっかけで供養しました(Tさん・当時36才)

3回目の体外受精で初めて妊娠しましたが、その後、12週で流産。流産当初は、喪失感と長く続いた治療が振り出しに戻ってしまったガッカリ感で供養まで考えが及びませんでした。その後、しばらくして妊娠。産休の際に観光で訪れたお寺に水子地蔵がまつられていたことがきっかけで、流産した子のことを思い出し、出産前に私の祖父母や先祖がいるお墓のお寺で供養してもらいました。

3人目の赤ちゃんを流産。馴染みの不動尊で正式に供養してもらいました(Mさん・当時38才)

金銭的に不安があって3人目の妊娠を喜べずにいた妊娠超初期のとき、流産。私が妊娠を喜べなかったから流産したのでは……と自分を責め、いつも家族でお世話になっている近所の不動尊で正式な『水子供養』をしていただきました。喜んで迎えてあげられなかったことに後悔はありますが、きちんとお経を唱えてもらったことは、気持ち的にすごくよかったと思います。

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授かったお子さんを失うのはつらいですが、供養をすることで次へ進むことができると考えることもできます。ご自身に合った供養の方法を、ぜひ探してみてください。

取材・文/高橋知寿 撮影/中村彰男(人物) 写真提供/本寿院

監修
三浦尊明さん
山王山 本寿院 住職
1969年、第56世 円満院門跡 三浦道明大僧正の三男(州道)として出生。1979年、出家得度し尊明となる。平成15年より東京都大田区馬込にある「山王山 本寿院」住職に。水子供養をはじめとしたさまざまな供養を行うほか、全国で戒名講座や、つちぼとけ講座などの講師をつとめる。カンボジアのラオスに学校を建てるプロジェクトも行なっている。

山王山 本寿院

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