別れを悩んだら? 主婦→離婚専門の行政書士に転身したシンママが語る【シングルマザーという生き方】 

コラム
公開日:2019/08/01
更新日:2019/08/02
別れを悩んだら? 主婦→離婚専門の行政書士に転身したシンママが語る【シングルマザーという生き方】 

今回お話を伺ったのは、離婚・不倫問題専門の行政書士・カウンセラーの安富幸江さん。ご自身も子供がまだ小さい頃に離婚を経験し、2人の子どもを女手ひとつで立派に育て上げたシングルマザーです。専業主婦から心機一転、行政書士の資格を取り、独立・開業、と順調な人生を歩んできたように見えますが、その裏側は決して順風満帆なものではなく、貧困、うつ病、パートナーからのDV……と苦しい時期をたくさん乗り越えてきたといいます。そして最後には、今まさに離婚問題を抱えている人への貴重なアドバイスも。安富さんの生き方やそのアドバイスから生きるヒントが見つかるかもしれません。

妊娠して学生結婚。元々望んでいた結婚ではなかった

元夫との出会いは学生の時。看護学校に通っていた際に付き合っていた人で、できちゃった結婚でした。当時私は23歳、彼は25歳。付き合っている期間はそれなりに長かったけどケンカも耐えなくて、子供ができていなければ結婚してなかったような気がします。それでも妊娠が分かった時は1人でも産みたいと思った。その気持ちを彼に伝えると、彼はしぶしぶ結婚に応じました。

結婚2年目に元夫が不倫。でも経済的に別れられなかった

長女が2歳の頃に彼の不倫が発覚しました。しかも彼は不倫相手にけっこうのめり込んでしまって……。悩んでいる間、ずっと頭の中に「離婚」の文字が浮かんでいましたが、若くして学生結婚をした世間知らずの私は小さな子を抱えて独り立ちできるだけの力を何も持っていなかったんです。知識も無かったし、経済的にも彼に頼らなければならない状況でした。
看護師の資格は持っていましたが、子供と一緒にいる時間を考えると看護師としてフルタイムで働くのには躊躇がありましたね。それで結局この時は、離婚という選択ができなかったんです。

それから数年後に離婚を決意したワケは……

しかし数年経ってから離婚を決意。引き金となるような大きなできごとがあったわけではありません。ひと言でいえば性格の不一致でしょうか。色々なものが積もり積もって、離婚したいという思いが強くなりました。計画的にというよりは、勢いに近い感じでしたね。その頃パートを始めたこともあって、1人でもなんとかやっていけるんじゃないかって。でもきっとその根っこの部分に「不倫で裏切られた」という思いがずっと心の中にあったんだと思います。上の子が小学生、下の子が幼稚園生の頃でした。

行政書士に相談したらメンタル面のケアが全くなかった

彼が高圧的なタイプで離婚の話し合いを直接するのがちょっと怖かったこともあり、別居して離婚調停という形をとりました。でも当時は離婚に関して何の知識もなかったので、不安でいっぱい! 本当に別れられるのか、親権は取れるのか、と不安を抱えて行政書士の方のところに相談にいってみたら、その男性は法律的な話をするばかりで、気持ちの部分まで掘り下げて聞いてもらえませんでした。だからますます不安は募るばかりで。別の行政書士も探しましたが、離婚を専門にしている方やメンタルケアまでしてくれるような方は見つけられませんでした。もちろんカウンセリングは行政書士の専門ではないので仕方のないことですが、せっかく勇気を出して相談に行ったのに、かえって精神的に参ってしまったんです。

精神面のフォローも十分にできるような離婚問題専門の行政書士がいないなら、私がなろうかな」と思ったのはこの時です。もし自分にできるなら、資格を取ってみようかなと。

資格を取るために働きながら猛勉強!

離婚が成立してすぐ、行政書士の資格の勉強を始めました。といっても朝はお弁当を作って子供たちを送り出し、日中はデイサービスのパート、夜は子供たちにごはんを作って……となかなか勉強に時間が割けなかったので、早朝2~3時に起きて朝まで勉強、という生活を毎日続けていました。

当時、周りの人には「今は勉強している場合じゃない。まずはフルタイムで働いて生活の基盤を立てるのが先でしょ?」といったことをずいぶんいわれました。「生活が安定して、余裕ができたら勉強すればいいじゃない」と。あきらめた方がいいのかなと悩んだ時期もありましたが、でもやっぱりどうしてもあきらめたくない! という思いが勝って、子育てと仕事に影響が出ないようにしながら、ひたすら勉強に励みました。

1年半で合格! 喜びもつかの間、すぐに不安に襲われ……

行政書士の資格試験は1年に1回。勉強を始めて半年後に受けた試験に数点足らずで落ちてしまって、さらに1年間勉強を続けました。
「合格」の通知を受けた時は、うれしさがこみ上げてきましたね。でもその直後、急に不安が襲ってきたんです。「ここまで合格を目標に突っ走ってきたけど、この資格を手にしてどうやって生活していけばいいんだろう……」って。学生結婚を経てパートしかしたことのない人間でしたから、人脈もないし、お金もない。独立について相談できるような人も周りにいない。私これからどうすればいいんだろう、と途方に暮れてしまいました。この時の気持ちは今でも鮮明に覚えています。

離婚問題専門の行政書士として独立

とにかくまずは独立しようということで行政書士登録をして、資格取得から数ヶ月で開業届を出しました。最初は資金がなかったので、お金のかからない営業ってなんだろうって模索しながら、自作でHPを制作したり、ブログを毎日更新したり、手探り状態で地道な努力を重ねていきましたね。それから少しずつ相談の依頼をいただけるようになっていきました。

今では年間1000件の相談実績を誇るまでに成長

今年で開業10年目を迎え、現在は全国からあらゆる相談をお受けしています。でも資格を取得してから今まで、決して順風満帆だったわけではありません。業績不振と子育ての悩みが重なってでうつ病を発症し、電車に乗ることができないような時期もありました。しかも自営業ですから、私が病気やケガで倒れたとしても何の保証もありません。振り返ってみても、常に不安がつきまとっていたような気がします。本当は「シングルマザーになって起業して、全てうまくいってます!」ってキラキラしたことがいえたらいいんですけど(笑)。恐らくシングルマザーのみなさんが経験しているのと同じように、1人で不安を抱え込むように生きてきました。

何より大切にしたのは子供との時間

子供と一緒にいる時間が確保できるということで、今の仕事を選んだのもあります。看護師の資格も持っていますが、「夜は絶対に子供たちと一緒にいたい」と思っていたので、看護師として働くことには抵抗がありました。
行政書士になってからは、昼間に相談者の方と会い、夜は自宅で書類を作成するという生活ができたので、子供との時間を十分に持てたと思います。おかげさまで何とか不自由のない環境で子育てをすることができ、長女は今年公務員になりました。娘いわく「自営業は絶対やりたくない!」そうです(笑)。きっと私が苦労している姿を近くで見てきたからでしょうね。

でもだからといって、子供と一緒にいる時間が長ければいいというわけではないと思います。仕事で外に出ていればどうしても子供と過ごす時間を犠牲にせざるを得ません。子供との時間がなかなかとれなくても、子供にちゃんとママの愛情を伝えていけば、曲がった育ち方はしないんじゃないかな、と私は思っています。

シングルマザー協会を設立。心や暮らしの悩みもサポート

法律的なことだけでなく精神的な部分までケアできる行政書士を目指して、心理カウンセラーの資格も取得しました。離婚問題に悩んでいる人は、法的な手続きのことよりも心理的な問題を抱えていることの方が多い。だからこそ、まずは相手の話を聞くことに重点を置きたいと思っています。私自身もいろいろな経験をしてきたので、悩んでいる方の気持ちがよく分かりますし、気持ちの整理をして不安を取り除くことで冷静に判断できることも多いんですよね。
行政書士に相談に行くということだけでも1つのハードルですから、なるべく気軽にご相談いただけるよう無料相談も実施しています。過去の自分と同じような問題を抱えた人に「相談して本当によかった、ありがとう」といってもらえたときは本当にうれしい瞬間です。

シンママの相談窓口“シングルマザー協会”も開設

また最近は、シングルマザーが自分らしく暮らせるためのサポートをする「シングルマザー協会」を立ち上げました。ここでは離婚や養育費に関する相談や子育て中でも安心して働ける仕事の紹介、起業やビジネスについての相談などを行っています。私自身シングルマザーになって悩みを抱えた時にどこに相談すればいいか分からず、ようやく見つけた相談先でだまされそうになったこともありました。だからずっとシングルマザーが安心して相談できる場所をつくりたいという気持ちがずっとあったんです。子供が大きくなって時間に余裕ができたので、ようやく動き出すことができました。

これがもうちょっと軌道に乗ったら、さらにシングルマザーの負担を減らす事業ができたらいいなと思っています。例えば保育園や病児保育のような施設をつくって、子供の預け先がなくて思うように働けないママたちをサポートしたり……。まだまだ夢の段階ですが、ゆくゆく実現することができたら、と思っています。

今、離婚問題で悩んでいる人へ

きっと今現在、今の夫と離婚するか否か、悩んでいる方もきっとたくさんいると思います。私のところにも、離婚を迷っているという相談が毎日のように舞い込んで来ます。そんな時私はみなさんに「迷っているなら、思う存分迷い尽くしてください」とアドバイスしているんです。
周囲に相談すると、”迷っているなら無理に離婚するな”とか、”経済的に自立できないなら離婚しないほうがいい”とか、いろんな意見を耳にすると思いますが、誰かの意見に従って進むべき道を選択すると、後になって後悔する人が非常に多いんです。

だから、とにかく迷い尽くす。1年でも2年でも、問題に向き合って十分悩み続けてください。そうすると最終的に必ず結論が出る。自分で結論を導き出した時が”離婚時”です。ただ10年も20年も迷っている方は、離婚しない人が多いですね。

感情的になったら、”静”のアクションを

悩みを抱えて情緒不安定になっていると、人はどうしても感情的になりがちです。私のところにも「夫と元に戻るにはどうしたらいいですか!?」「不倫相手と別れる方法を教えてほしい」といった感情的な相談がよくあります。でも、感情的に行動すると大抵の場合失敗します。これまでの相談者さんの例を見ても、「やらなければよかった」ということがほとんどです。感情的になった時は”動”ではなく”静”のアクションを。「待つ」ということも行動の1つだということを、頭に入れておくといいですよ。

シングルマザーになるための覚悟

離婚問題に直面していると、目の前のことで頭がいっぱいになりますが、本当に大変なのは離婚をした後の生活です。まず金銭面。私も離婚した当時そうでしたが、お金がないと精神的に追い詰められていきます。事実、シングルマザーは不安を独りで抱え込む人が多いので、うつ病の発症率が高いんです。

さらに、子供を1人で育てていくということは、子供が成長していく中で迫られる選択を全て1人で決めなければならない、ということ。どの学校に進学するか、子供が学校でうまくいっていない時に転校するべきか、など、子育て中は選択しなければならない場面が度々訪れます。その時の親の決断は、時として子供の人生を左右するほどの大きな責任が伴ってきます。配偶者がいれば、子供に関する選択を相談しながら一緒に決められますが、シングルマザーはそうもいきません。私は選択を迫られるたびに、配偶者がいるっていいなと思っていました。

DVを受けているなら、今すぐ決断を!

でもDVを受けている場合は、すぐに離婚を選択することをすすめています。私自身DVを受けた経験がありますが、DV気質はそう簡単には治りません。もし経済的に不安があったとしても、日本では児童扶養手当などの様々な助成制度があり、収入が少なくても子育て中に野垂れ死ぬようなことはありませんので、DVに関しては勇気をもって別れる選択をするべきだと思います。

離婚問題といっても、悩みや状況はみんなそれぞれ違うんですよね。心理的なケアももちろんですが、法律を知ることで打開できることもたくさんあります。だからこそ1人で悩まずに、まずは専門家に相談をしてみてください。1人1人に寄り添った解決策を一緒に見つけていくことが、きっとできると思っています。

取材・文/齋藤久美子
撮影/黒澤俊宏(主婦の友社写真室)

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