【体験談あり】赤、黒、茶…赤ちゃんのあざはなぜできる? 病院に行くべき?【医師監修】


馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長
この記事は、赤ちゃんのあざについてまとめたものです。赤ちゃんにあざがあるのを見つけると、消えるのかどうか、悪いものではないかと気になりますね。特に顔や手足の見える部分にある場合は、ママの心配もひとしお。あざのできる原因や色の違いの意味、病院へ行く目安と治療方法などについて、ドクターに聞きました。
目次
赤ちゃんにあざがあるのはなぜ?
あざは生まれつきのもの
「あざ」は、生まれつきある皮膚の部分的な異常のこと。「アザラシ」という海に住む動物がいますが、その語源は「あざのような模様がある獣」という意味です。あざと似たものに「ほくろ」がありますが、ほくろは生まれた後にできたものを指します。
あざができる原因は、はっきりとはわかっていませんが、メラニン色素の異常によるものと、血管の異常によるものとの2つに分けられます。
赤ちゃんのあざは遺伝?
多くの場合、遺伝することはありませんが、なかには兄弟や姉妹同士であざが見られることもあります。
また、「妊娠中に火事を見ると赤いあざのある子どもが生まれる」「妊娠中にお葬式に参列すると赤ちゃんにあざができる」などの言い伝えがありますが、妊娠中の過ごし方であざができることはありません。
ただし、あざにはいろいろな種類があり、自然に消える可能性が高いものと、治療をしないと消えないものがあります。パパやママは、自己判断で「大丈夫」と考えないでください。
赤ちゃんのあざ 赤・青・茶・黒はどんな意味がある?
赤いあざは血管、青・茶・黒のあざはメラニン色素が原因
皮膚の浅い部分には血管があり、それが増えたり、太くなったりすると、皮膚の表面から赤いあざとなって見えます。
表皮の下の真皮にある毛細血管が、何らかの原因で増えたり、太くなったりすると、血液中のヘモグロビンが皮膚を通して赤く見えます。
一方、青や茶色、黒のあざは、メラニン色素の沈着によるものです。メラニン色素は、皮膚の一番表面・表皮にあるメラノサイトが紫外線を浴びることで作られますが、表皮より深い真皮に沈着した場合は青、真皮でも表皮基底層や表皮に近い真皮に沈着した場合は茶色、表皮から真皮の深い部分にかけて厚い層状に沈着した場合は黒に見えます。
表皮の基底層にはメラノサイトと呼ばれる色素細胞があり、紫外線を浴びるとメラニン色素を作ります。何らかの原因でメラニン色素を持った細胞が表皮より深い真皮に増えると、青く見えます。
メラニン色素を持った「母斑細胞」が、表皮から真皮の深い部分にかけて厚い層状に沈着すると、黒く見えます。
メラニン色素が、真皮でも表皮基底層や表皮に近い真皮に沈着した場合は茶色に見えます。
赤ちゃんのあざは病院へ行くべき?
できるだけ早く皮膚科を受診しましょう
あざには自然に消える可能性が高いものと、自然には消えないものがあります。大きさや場所によっても異なるため、「この種類のあざは消える」と言いきれないことも。
ただし、以前は治療できなかったあざも、主にレーザーによる治療によって消したり、薄くしたりすることができるようになりました。自然に消える可能性が高いあざも、治療をすることでよりきれいに消すことができます。
皮膚は成長するにつれて伸び、それに伴ってあざも大きくなります。赤ちゃんのうちに治療をしたほうが、短時間に少ないレーザー照射で治療ができます。あざを見つけたら、できるだけ早く、赤ちゃんを対象にレーザー治療を行っている皮膚科を受診しましょう。
赤いあざを取るためのレーザー。
赤いあざや、シミ・ソバカスを取るためのレーザー。
茶色や青いあざを取るためのレーザー。
赤ちゃんのあざ どう治療する?【画像あり】
自然に消える可能性が高い&レーザー治療効果のあるあざ
赤いあざ
サーモンパッチ
まぶたやひたい、上くちびるなどに出る、うっすらと赤い、平らなあざで、赤ちゃんの20~30%に見られます。広い場合は鼻の上や下に出ることも。色が産卵期のサケのおなかの色に似ていることから、「サーモンパッチ」と呼ばれています。
色の出方には個人差があり、入浴時や興奮したときなど、血行が良くなると赤みが目立ちます。
成長して毛細血管が縮まると、自然に消えることが多く、ほとんどの場合は1才半ごろまでに消えていきます。ただし、ひたいの中央部や鼻の回りにできたものは残ることも。1才ごろになってもくっきりしていて残りそうな場合、レーザー治療をすると、ほとんどわからなくなります。
ひたいの中央~鼻の下にかけて現れたサーモンパッチ。
ウンナ母斑
後頭部やうなじにできる、平らな赤いあざで、赤ちゃんの30%程度に見られます。サーモンパッチとよく似ていますが、サーモンパッチよりは自然に消えにくいものです。約半数は6才ごろまでに消えるものの、そのころまでに消えない場合は、そのまま残る可能性があります。
首などに広がっている場合はレーザー治療をすることがあり、効果が期待できますが、成長するとともに髪が伸びて気にならなくなるため、特に治療しないことも多いあざです。
後頭部やうなじにできるため、髪が伸びると目立たなくなります。
乳児血管腫(いちご状血管腫)
以前は「いちご状血管腫」と呼ばれていたあざで、生後数日~1ヶ月ぐらいごろから赤みが目立ってきます。皮膚の下に腫瘤がある「皮下型」、扁平に盛り上がる「局面型」、半球状に盛り上がる「腫瘤型」の3タイプがあります。
局面型は3才ごろ、皮下型は6才ごろまでに目立たなくなります。腫瘤型は6ヶ月~1才ごろをピークに小さくなっていき、7才ごろまでに目立たなくなりますが、痕が残らずに消えるのは直径が1cmぐらいまで。大きく盛り上がったものはシワやたるみが残ってしまうこともあります。あざが出てすぐ、盛り上がる前にレーザー治療をすると、痕が残るのを最小限にする効果が期待できます。
レーザー治療だけでは盛り上がりを抑えられない場合には、2016年に保険適応となった「へマンジオルシロップR」という飲み薬で治療をすることもあります。ただし、この薬はもともと大人の高血圧のための薬で血圧や血糖値を下げる作用があるため、専門医のもとで安全に使うことが必要です。
腫瘤型の乳児血管腫。小学校に入学するころまでに約半数が消えます。
青いあざ
異所性蒙古斑
日本人のほぼ100%には、おしりや腰のあたりに「蒙古斑」という生まれつきの青いあざがあり、3~5才ごろまでにほとんどが消えるか、目立たなくなります。「異所性蒙古斑」とは、おしり以外の場所にできた蒙古斑のことで、肩や足、腕、手の甲、おなかなどにできます。
蒙古斑と同じように、成長につれてだんだんと薄くなっていき、学童期までに消えることが多いですが、メラニン色素が多くて色が濃かったり、面積が広い場合は自然に消えないことがあります。
その場合はレーザー治療が有効です。成長とともに皮膚が厚くなるとメラニン色素にレーザー光線が届きにくくなってしまったり、日焼けが表皮にできたりするため、できるだけ早く始めたほうが治療期間も短く、レーザーの照射も少なくて済みます。
肩にできた異所性蒙古斑。
上の写真の治療後。数回のレーザー治療で目立たなくなりました。
自然には消えない&レーザー治療が効果的なあざ
赤いあざ
ポートワイン母斑(毛細血管奇形、単純性血管腫)
頭や顔、腕、足など、体のどこの部位にもできる、境界がはっきりした平らな赤いあざです。毛細血管の先天的な異常によるもので、「毛細血管奇形」、「単純性血管腫」ともいい、成長すると赤黒くなったり、紫色になったりと、色が濃くなることがあります。
自然に消えることはなく、レーザー治療が効果的です。頭や顔にできたものは成長してから盛り上がることがあり、できるだけ早く、1才ごろまでに治療を始めるのが理想です。
難病の「スタージ・ウェーバー症候群」や「クリッペル・トレノネー症候群」の症状の1つでもありますが、その場合は脳や目の毛細血管にも奇形があったり、血管奇形があるほうの腕や脚のほうが太く、長くなるなどの症状が出ます。
自然には消えないポートワイン母斑には、レーザー治療が有効。
青いあざ
太田母斑
顔の片側や目の周辺、こめかみなどにできる青いあざで、茶色っぽい場合もあります。生後数ヶ月~1年以内に現れ、成長するにつれてだんだんと色が濃くなります。赤ちゃんのころになくても、思春期から現れることも。
目立つ部分にできますが、レーザー治療でほとんどわからないぐらい薄くすることができるので、気づいたらすぐに受診しましょう。ただし、まぶたにできている場合は、目への影響があるため、遮光用のコンタクトレンズを挿入できる2才以降からの治療になります。
ひたい~耳までの広範囲に現れた太田母斑。
太田母斑にはレーザー治療の効果が期待できます。上の写真の治療後、気にならない程度まで薄くなりました。
自然には消えない&レーザー治療でも消えないあざ
茶色いあざ
扁平母斑
平らな茶色いあざで、赤ちゃんの10~20%に現れます。顔や腕、足など、体のどの部位にもでき、悪性化することはありませんが、成長とともに色が濃くなることも。
レーザー治療が効きにくく、薄くなるのは20%程度。薄くなっても、80~90%が再発してしまいます。
成長とともに色が濃くなる扁平母斑。レーザー治療で薄くなりますが、再発することも。
カフェオレ斑
扁平母斑の一種で、500円玉以上の大きさのものが6個以上ある場合を指します。カフェオレ斑がある場合、「レックリングハウゼン病」または「神経線維種症」という、遺伝性の全身的な神経の腫瘍が出る病気の可能性があるため、必ず皮膚科か小児科を受診しましょう。
黒いあざ
色素性母斑
生まれつきある黒いあざで、少し盛り上がったものもあれば、平らなものもあります。新生児の時に5cm以上などと大きなものは将来悪性化する可能性が少しあるので、必ず皮膚科を受診して、診断を受けましょう。
顔などの目立つ部分にある場合、レーザー治療をすることもありますが、あまり効果は期待できません。その場合は、手術でとり除くことになります。
生まれつきある黒いあざ。面積が広いものや毛が生えたものは、まれですが悪性化することもあるので、皮膚科を受診して。
その他のあざ
脂腺母斑
毛穴(皮脂腺)にできるあざです。ほとんどは頭皮に現れ、次に多いのは顔で、体にはめったに出ません。表面は黄褐色ででこぼこしており、このあざがある部分には、毛が生えません。
皮膚の表面ではなく、真皮の深い部分に皮脂腺の細胞が増えている状態なので、レーザーによる治療ではなく、手術であざを切り取ります。将来、あざの部分に腫瘍が発生することがあります。
思春期になると盛り上がってイボ状になり、髪をとかすときに出血することもあるので、小学校低学年ごろまでに局所麻酔で手術をします。きちんと取り切れば、再発することはありません。
脂腺母斑ができた部分には毛が生えません。手術は1時間半ほどですが、手術した部位に毛が生えてくることはありません。
赤ちゃんのあざ 先輩ママの体験談
成長するにつれて色が薄くなり、目立たなくなりました
生後6ヶ月のとき、ふくらはぎのあたりにわりと大きな赤紫色のあざがあるのを発見。大学病院を受診しました。医師からは、「多分薄くなっていくと思います。どうしても完璧に消したいというなら、レーザー治療をしてもいいですが、気にならなくなると思いますよ」と言われ、2ヶ月に1回、経過観察で通院。ただ、特に検査などはなく、毎回あざを見せるだけでした。成長するにつれてあざの色はどんどん薄くなり、6才になった今では、どこにあざがあったかもわからなくなりました。
小さめで洋服で隠れる部分だったので、そのままに
生まれたときから、境界線がくっきりとした赤いあざが太ももにありました。かかりつけ医に見てもらったところ、「ポートワイン母斑だけれど、心配いらない」との診断。あまり大きくなく、洋服で隠れる部分だったこともあり、そのまま治療はしませんでした。現在5才で、成長とともに少しあざが大きくなりましたが、色は薄くなったように思います。今では、周囲も子供本人も特に気にしていません。
写真出典/はじめてママ&パパの病気とホームケア
イラスト/福井典子

馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長
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