琴奨菊和弘さん 今の時代、子どもに厳しくできるのは親だけ。たくさんの愛情もけじめも、ちゃんと伝えたい 【PAPA’S LIFE Vol.3 前編】

琴奨菊和弘さん 今の時代、子どもに厳しくできるのは親だけ。たくさんの愛情もけじめも、ちゃんと伝えたい 【PAPA’S LIFE Vol.3 前編】

連載 PAPA'S LIFE〜Vol.3〜琴奨菊 和弘さん

赤ちゃんの子育て真っ最中のパパの毎日をお届けしている「PAPA’S LIFE」。今回登場するのは、大相撲の世界で活躍する琴奨菊関。2歳になったお子さんの子育て風景は、まさに礼儀礼節を重んじる力士ならでは。愛情たっぷり、メリハリのついた育児ライフは、参考になることがいっぱいです!


土俵での動きを完コピ! そんな息子の姿に相撲を続けるパワーをもらえます

2002年に初土俵を踏んでから17年。これまでに幕内優勝をはじめ、技能賞や殊勲賞などを数多く受賞。2015年に結婚し、2017年には第一子である長男の弘人くんが誕生し、パパになった琴奨菊関ですが、各場所や巡業などで、一年の半分は地方にいるというハードな毎日。そんな生活のなか、2歳を過ぎた弘人くんの日々の成長には、いつも驚かされているそう。

「言葉がどんどん増えたり、地方場所や地方巡業から帰るたびに弘人の成長を感じます。一番びっくりするのが、テレビ中継などで相撲をよく見ていること。大相撲中継を見ているときも、あんなに大勢の力士がいるなかで、自分が土俵に上がると『パパ!』って言ってくれているみたいだし、さらに土俵での私の動きを全部覚えて真似するんです! そんなことも相撲を頑張れる糧になっているし、弘人の物心がつくまで、もう少し頑張ろうかなって思います」

つらいこと、苦しいこと。親になってからは、それさえも楽しまないと損だと思えるように

朝稽古では厳しくも温かな表情で、後輩力士たちの指導にもあたっていた琴奨菊関ですが、弘人くんの話になると、一変! 優しくておもしろい、パパの顔に。

「子どもがいるから勝っても負けても喜びや悔しさは倍になるし、そのぶん、『また明日も頑張ろう』と思えるので、父親になってからは毎日が充実していて、一日一日が楽しいです。楽しいから相撲を続けられるし、どんなに苦しい状況になっても、自分のパフォーマンスにすべてを注ぐことができています。

子どもは目の前のことに一生懸命だから、そんな姿を見て、自分も一瞬を大切にしないといけないな、と感じさせられます。よく『子どものためにも頑張って』と声をかけていただきますが、やはり応援してくれている方々がいるから続けられるんです。子どものため、というならば、こんなに体を張る相撲は続けられませんから(笑)」

弘人くんの誕生により父親になったことで、相撲に対するご自身の心境にも大きな変化があったといいます。

「もともと相撲が大好きで始めたけれど、長年続けて経験が増えると、イヤになったり、いろいろなことを考えて苦しくなったり、考え込んでしまうこともあるんです。だけど、子どもが生まれてからは、それさえも楽しまないと損だなって。以前よりもっともっと、相撲愛が増したし、 それと、何よりも親のありがたみがわかりました。自分自身も、親からこんなに愛情を受けて育ったんだということを改めて実感しています」

インタビューの最中も、つねに弘人くんに声をかけ、とことん一緒に遊ぶ姿が印象的な琴奨菊関。弘人くんが生まれた瞬間のことをうかがうと、「もうね……言葉もない。なにもない」と重みのある答えが。

「3250gで生まれた弘人を初めて抱っこしたときは、『自分のもとに生まれてきてくれてありがとう』『これからいっぱい大きくなろうね』という気持ちでした。これまで健康で大きな病気もなく育っていることは本当に嬉しい限りだし、妻や周囲の方々にも感謝しています。妊娠がわかって、エコー写真でちいさな丸のような姿を見たところから始まり、それがどんどん成長して、おなかをドンドン蹴っているのを触ったり。でもやっぱり、生まれるまでは正直、あまり実感はなかったんです。だけど、生まれた瞬間は涙が出るくらい嬉しくて。この子のために頑張ろう、って」

親しか子どもに厳しくできない時代だからこそ、役目をしっかり果たしたい

パパが大好きな弘人くんは、飛びついたり、ひざの上に座ってじゃれたり。でも時々「度」が過ぎてパパの顔にパンチしてしまうことも……。笑って流してしまうかと思いきや、琴奨菊関は「ダメでしょ!」とけじめを。きちんと叱り、涙ぐむ弘人くんをぎゅ~~っと熱く抱擁。このメリハリをとても大切にしているようです。

「今の社会、親しか子どもに厳しくすることってできないので、そこはちゃんとしようと思います。たくさん愛情を与えて、でも勘違いはしないよう、厳しいところは厳しく。親しか子どもに怒れない時代だからこそ、そう思います。弘人には、礼儀がちゃんとしていて、挨拶や感謝の言葉がちゃんと言える人間になってほしいと思っています。それと、私もこれまでそうしてきましたが、自分がやると決めたことは、『節』ができるまでやってほしい。竹も節があるからだんだん強くなっていくように、ある程度、5年、10年と続けられるよう、親としてできるサポートをしながら育てていきたいという気持ちです」

琴奨菊関の育児のポリシーは「愛を伝える」。弘人くんを叱ったあと、必ず「弘人が大好きだからなんだよ」と伝えるそう。一緒に遊ぶときも、叱るときも、根底には「愛」がたくさん。

(後編はこちら⇒⇒⇒ 琴奨菊和弘さん 子どもは親に迷惑かけるくらいがちょうどいい。とにかく元気いっぱいに、すくすく育ってほしい 【PAPA’S LIFE Vol.3 後編】

PROFILE
琴奨菊和弘さん
大相撲力士
1984年1月30日生まれ。福岡県出身。佐渡ヶ嶽部屋所属。小学生のときから相撲を始め、高知県の明徳義塾中学校へ進学。中学3年生のときに全国中学校相撲選手権大会で優勝し、中学横綱に。明徳義塾高校を卒業後、佐渡ヶ嶽部屋へ入門。2002年1月場所に初土俵を踏む。2011年大関昇進、2016年に初優勝を果たす。現在の番付は前頭筆頭(2019年5月場所現在)プライベートでは2015年に結婚、2017年4月に長男となる、弘人(ひろと)くんが誕生。
佐渡ヶ嶽部屋ホームページ

撮影/土屋哲朗(主婦の友社写真課)取材・文/長澤幸代(Milly)


この連載について

大相撲の世界で活躍する琴奨菊関、プライベートでは2歳の男の子のパパ! 愛情たっぷりのなかにも、礼儀を重んじる力士ならではの育児風景がありました。一年の半分以上は地方にいるというハードな毎日のなかで、どのようにお子さんとのふれあいの時間を持っているのでしょう。

最新の記事

琴奨菊和弘さん 子どもは親に迷惑かけるくらいがちょうどいい。とにかく元気いっぱいに、すくすく育ってほしい 【PAPA’S LIFE Vol.3 後編】

琴奨菊和弘さん 今の時代、子どもに厳しくできるのは親だけ。たくさんの愛情もけじめも、ちゃんと伝えたい 【PAPA’S LIFE Vol.3 前編】

クリップ

あなたにおすすめ

注目コラム