【産婦人科医監修】出産後の痔は治る?手術・薬や体験談を紹介!

 専門家監修
公開日:2019/07/09
更新日:2019/08/15
【産婦人科医監修】出産後の痔は治る?手術・薬や体験談を紹介!
監修
粒来拓(つぶらいたく)先生
よしかた産婦人科分院 綱島女性クリニック院長

痔は男性だけがなるものと思っていませんか?実は「産後に痔になった」というママが意外にたくさんいます。とくに妊娠中、便秘になりやすかった人は注意して!産後の痔について治療法や予防法を解説します。

そもそも「痔」とはどんな状態のこと?

痔とは、肛門部とそのまわりの部分にできる病気の総称で、出血やはれ、痛みなどが主な症状です。日本人の3人に1人は痔になっているといわれるほど、痔は身近な病気です。一般的に痔は男性が多いというイメージですが、女性も少なくありません。痔の原因となる便秘は女性に多く、さらに妊娠や出産が痔の発症や悪化につながることがあるからです。痔を治すためには、生活習慣の改善がとても大切になります。

痔の種類

痔は大きく分けていぼ痔(痔核・じかく)、切れ痔(裂肛・れっこう)、あな痔(痔瘻・じろう)の3種類があります。

●いぼ痔

肛門の付近や内部に、うっ血によって「いぼ」ができる痔のこと。このいぼのことを「痔核(じかく)」といい、発生する箇所によって「内痔核」「外痔核」に分類されます。内痔核は、肛門の内部の歯状線(直腸と肛門の境目にある線)という部分の奥にできたもので、外痔核は肛門の入り口付近にできたものをいいます。
原因の多くは便秘で、トイレで長くいきんだために、肛門付近の血管がうっ血してしまうことから、いぼ痔になるといわれています。また、妊娠して大きくなった子宮が肛門を圧迫したり、血流が悪くなったりすると、うっ血していぼ痔になりやすくなります。
症状
内痔核の場合……はじめのうちは痛みがありませんが、いぼが傷ついたときに出血することで気づきます。悪化すると内痔核が大きくなり、排便したときに脱肛といって内痔核が肛門から飛び出すことがあります。
外痔核の場合……痛みがあったり、大きくはれると出血したりします。

●切れ痔

肛門の皮膚が切れたり、裂けたりしてできる痔のこと。肛門の皮膚は伸縮性が乏しいため、便秘によるかたい便や太い便が肛門を通ろうとすると、傷ついてしまいます。肛門が切れて痛みを感じるようになると、排便を我慢するようになり、さらに便秘が悪化するという悪循環になりがちです。
症状
排便時や排便後に痛みがあったり、少量の出血があったりします。

●あな痔

便の中の細菌が肛門のくぼみに入り込んで感染し、肛門の周囲が化膿して痛みやはれ、発熱などを引き起こします(肛門周囲膿瘍・こうもんしゅういのうよう)。そのあと、肛門周囲膿瘍が破れて膿が出て管(瘻孔・ろうこう)ができた状態を痔瘻といいます。女性よりも男性に多くみられます。
症状
痔瘻は通常痛みはなく、しこりを触れたり、分泌物が出たり、かゆみを感じたりします。痔瘻が再び化膿して肛門周囲膿瘍になり、痛みを引き起こすことがあります。

出産するとなぜ痔になるの?

妊娠中に便秘や痔になる妊婦さんがたくさんいます。妊娠中に分泌される黄体ホルモンは、腸管の働きを鈍くする作用があるからです。

また、妊娠すると骨盤まわりの血行が悪くなります。さらに、大きくなった子宮が肛門部を圧迫します。どちらもうっ血の原因となり、痔核の発症につながります。

それらに加え、お産のときにいきむと肛門部に大きな負担がかかり、妊娠中に痔核になった人は悪化したり、裂肛になったりします。

産後は、授乳などで生活リズムが不規則になったために排便のタイミングを失ったり、疲れやストレスがたまったりすることから便秘になり、それが解消されずに痔になるケースも少なくありません。授乳で水分不足になることも、便秘の誘因となります。

出産後に痔になったら治る?手術をすることは?

かなり悪化した場合は手術の可能性がありますが、ほとんどは時間が経過すれば改善します。手術が必要になることは、めったにありません。

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出産後に痔になってしまったときの対処法や薬は?

炎症を鎮める軟膏や座薬を使います。これらの薬は産科で処方してもらえます。また、便秘を改善するには、次のような食生活や運動もポイントです。

●規則正しく食べて、水分をしっかりとる

食生活を見直し、1日3食を規則正しく食べましょう。とくに朝食をきちんととることが大切。寝ている間に休んでいた胃腸を動かすことで、便意がもよおされます。また、授乳中はふだんよりも、のどが渇きますよね。便をやわらかくするためにも、水分を多めにとるようにしましょう。朝起きたら1杯の水を飲み、朝食後はトイレに行く習慣をつけるといいですね。

●食物繊維の多い食品をとる

便秘には、排便を促してくれる食物繊維の摂取が効果的です。食物繊維を多く含む食品を毎日の食事に積極的に取り入れていきましょう。食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」があり、豆類や穀類に多く含まれる不溶性食物繊維は、腸内で水分を含んで膨らむことにより、腸を刺激して動きを活発にしてくれます。一方、海藻類や野菜、果物などに多く含まれる水溶性食物繊維は、便をやわらかくするだけでなく、腸内環境を整えてくれる効果もあります。

●乳酸菌をとる

乳酸菌には、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整え、便秘を改善する働きがあります。ヨーグルトやチーズなどの乳製品や、納豆、みそ、漬物などの発酵食品には、乳酸菌が多く含まれているので、食べやすいものをとるようにしましょう。

●適度な油分をとる

油分には腸内での便の動きをスムーズにする役割があります。とりすぎはよくありませんが、適度な油分を食事できちんととるようにしましょう。

●適度に体を動かす

体を動かすことによって、腸が刺激され、スムーズな排便へとつながります。ウオーキングなど、毎日適度に体を動かしましょう。

出産後に痔にならないための予防法

産後、痔にならないためには、便秘を悪化させないことです。また、次にあげるような生活を心がけましょう。

●排便時間を長くしない

排便がないのにいきむと肛門に負担がかかってしまいます。排便はなるべく短時間にしましょう。そのためにも必要に応じて下剤を使いましょう。

●ときどき姿勢を変える

長時間座っていて同じ姿勢が続くと、肛門部に負担がかかり、うっ血しやすくなります。ときどき立ったり、姿勢を変えたりしましょう。

●体を冷やさない

体が冷えると血液循環が悪くなり、肛門部がうっ血しやすくなるので注意しましょう。

●ストレスは解消する

ストレスがたまると自律神経が乱れて、腸のぜん動運動に影響します。ストレスを感じたら、上手に気分転換しましょう。

●おしりを清潔に保つ

入浴やシャワーでおしりをやさしく洗い、水分をそっとふきとります。排便後の洗浄も習慣にしましょう。

出産後痔になったママの体験談

出産後、痔になったママの体験談を紹介します。

ふんばったら切れ痔に
出産して4日後ぐらいに、トイレでふんばったら切れ痔になりましたが、自然に治りました。もともと便秘になりやすい体質で、妊娠中も便秘になりました。(ユウママさん)

妊娠前のいぼ痔が再発
産後6~7ケ月たったころ、妊娠前のいぼ痔が再発してしまい、赤ちゃんを抱っこすると痛くて大変でした。妊娠中もいぼ痔で薬を処方してもらいましたが、産後も薬で治しました。(おまめさん)

市販薬を2週間使いました
産後1ケ月たったころ、トイレで流そうとしたとき、赤ワインのような出血が! 今まで痔で出血したことはなかったので、かなり焦りました。とりあえず市販薬を購入し、2週間ぐらい使用したら、よくなってきました。(Y・Nさん)

いぼ痔と切れ痔の両方に
産後すぐ、いぼ痔と切れ痔の両方で、トイレに行くのがつらかったです。肛門科を受診して注入軟膏を処方してもらいました。(kanaさん)

いきんだときに「ボコッ」
お産でいきんだからか、肛門から「ボコッ」としたものが出てきました。会陰切開の痛みと勘違いしていたのですが、もしかしたら痔ではと思い、触ってみたら痛かった……。外用薬を処方してもらい、看護師さんから「引っ込めるとラクになるよ」と言われたので、病室のおふろで「エイッ」と自分で戻しました。痛みはだいぶラクになりましたが、薬は2週間ほど続けました。(にいままさん)

産後2日目にいぼ痔に
産後2日目、肛門の近くにぎんなんより少し大きないぼが! 初めてのことだったのでびっくりしました。トイレで便を出そうとしますが、いぼのことが気になって便秘になってしまい、産後5日目でようやく排便できました。入院中だったので先生に見てもらいましたが、しばらく経過観察に。とくに何もしませんでしたが、1週間ほどでいぼが小さくなり、いつの間にか消えていました。(M・Mさん)

入浴中に押し込みました
産後、3ヶ月のときと4ヶ月のときの2回、痔になりました。どちらもとくに便秘だったわけではないのですが、水分不足からか便のかたい日があり、排便時に痛みと少量の出血がありました。入浴したときに触ったらいぼ痔になっていたので、出ているものを押し込んで、数日で自然に治りました。(S・Iさん)

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取材・文/小沢明子

監修
粒来拓(つぶらいたく)先生
よしかた産婦人科分院 綱島女性クリニック院長
2007年浜松医科大学医学部卒業。横浜市大産婦人科勤務後、2018年より現職。横浜市大センター病院女性ヘルスケア外来担当医兼任。妊娠中から産後まで、妊婦さんのさまざまな悩みに応えてくれるドクターです。

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