帝王切開の傷に関する疑問を解決! 痛みはいつまで?ケアはどうする? 【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/06/23
更新日:2019/07/09
帝王切開の傷に関する疑問を解決! 痛みはいつまで?ケアはどうする? 【産婦人科医監修】
監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長

帝王切開の手術の傷は、いつまでどんなふうに痛み、どのような過程をへて治っていくのでしょうか? 産婦人科医の小川隆吉先生に傷の状態、治り方について教えていただきました。 

帝王切開による傷の状態について知りたい

帝王切開は開腹手術です。まず、麻酔をして、下腹部の皮膚、皮膚の下にある脂肪組織、筋膜、腹膜を切開し、子宮にたどり着き切開します。手術を始めて5分前後で、赤ちゃんが子宮から取り出されます。胎盤も取り出したら、切開部を縫合します。麻酔をかけてから1時間くらいで手術が終了します。

縫合のしかたによって、傷口の見え方が違います。時間がたつととける溶解糸で縫っていたり、医療用ホチキスでとめていたり、埋没縫合で縫い目が見えない場合もあります。傷口は少し赤くなっていて、上から透明なフィルムや医療用接着剤を塗って傷口をケアします。

帝王切開による傷の痛み&その他の痛みについて

手術中は麻酔が効いているので痛みはありませんが、麻酔が切れたら、傷口がズキズキ、チクチクと痛みだします。開腹手術後の傷の痛みは、いくつかの鎮痛方法があります。硬膜外麻酔(※1)で帝王切開をした場合は、術中に使用したカテーテルに鎮痛薬を投与して痛みをコントロールします(術後疼痛除去・じゅつごとうつうじょきょ)。カテーテルをはずしたあとは、内服薬、注射薬、座薬の痛み止めなどが処方されます。痛みは徐々に治まりますが、痛いときはがまんせず、医師やスタッフに伝えましょう。どれも母乳に影響しない薬剤が処方されます。

※1 硬膜外麻酔 背骨の中にある脊髄周辺にカテーテルを入れ、手術時には麻酔薬、術後にはこのカテーテルを通じて鎮痛薬を注入して、痛みを和らげます。

傷口の痛みのほかに、赤ちゃんを取り出したあとの子宮収縮による痛み「後陣痛(こうじんつう)」があります。胎盤を出したあとに起こり、その後も子宮が元の大きさに戻るために収縮し、そのたびに痛みます。傷あとがズキズキ、チクチクと痛むのとは違い、後陣痛は生理痛のような、下腹や腰に鈍い痛みを感じ、子宮内にたまっている不要な分泌物(悪露・おろ)を排出します。悪露は産後すぐは赤色で、その後、茶色、黄色と色が変化し、4~6週間後には透明なおりものに変わります。

帝王切開は、陣痛を待たずに手術を行うことが多いので、後陣痛の痛みをより強く感じる傾向があります。また、開腹手術による傷が子宮にあるために痛みも強く感じやすいようです。時間経過とともにだんだん弱くなりますが、産後しばらくは授乳のたびに感じることもあります。これは赤ちゃんが乳首を吸う刺激で、脳から分泌されるオキシトシンというホルモンが子宮の収縮を促すからです。

帝王切開による傷の痛みはいつまで続くもの?

術後1日から鎮痛薬の内服が可能となります。動くと痛みがあるので、傷をかばうように前かがみで歩くことが多くなります。退院する8日目ごろになると鎮痛剤はほとんど不要になりますが、退院後が不安な人は医師に相談して処方してもらいましょう。退院後は、腹帯などで傷口をカバーしながら、無理をしない程度に日常生活に戻ってください。重いものを持ったり、立ちっぱなしや不安定な姿勢はおなかが痛くなるので避けましょう。産後の1ヶ月健診で、医師に傷の治りぐあいを診てもらいます。

帝王切開による傷はいつまで残るの?

帝王切開の際におへその下から縦に切ることが一般的でしたが、最近は傷が目立たないように横に切ることが多くなってきました。切り方によって傷の治りぐあいが違うことはありません。

イラストの点線は子宮の位置を示しています。

①横切り

横切りは、恥骨の少し上を横に切るので、傷あとが目立たないというメリットがあります。皮膚から筋膜までは横に切り、その下の腹膜は縦に切り、子宮壁は横に切ります。縦切りにくらべて時間がかかるので、予定帝王切開の場合に選択されます。

②縦切り

おへその下から恥骨に向かって切ります。皮膚から腹膜までは縦に切りますが、子宮壁は横に切ります。手術時間が短く、赤ちゃんを安全に取り出せます。横切りとくらべると傷あとが多少目立ちます。

帝王切開による傷のケアについて

一般的に、傷の痛みは術後3~4日目までが最も強いといわれます。この間に皮膚が再生して傷口が閉じていきます。傷口の表面が乾いていれば、それ以降は傷口からばい菌が入って感染することはありません。傷口がジュクジュクしてしまった場合は、化膿して浸出液が出ていることも。入院中は傷口の様子をこまめにチェックしてもらえますが、退院後に傷口が熱をもったり、痛みを感じる場合はすぐに受診して傷の手当てをしてもらいましょう。

帝王切開による傷をきれいにする方法について知りたい

術後2週間くらいで、新しい細胞が増殖して傷になった部分を埋めていきます。強い痛みはありませんが、軽い痛みや痒み、皮膚の赤みなどが見られることがあります。すでに退院している時期なので、家でのケアが必要です。

帝王切開の傷口は、摩擦などの刺激で皮下組織が出てきてしまい、傷あとが広がってしまいます。傷口を固定すれば、傷あとは治りやすく、目立たなくなります。傷口が悪化してから回復させることは難しいので、医療用テープなどで傷口をカバーしましょう。ケロイド予防のシリコン・ジェル・シートなどを使ってケアすることも。傷の赤みが軽減し、痛みが和らいだり、傷がきれいになります。ただし、効果には個人差があります。

構成・取材・文/白木紀子
校正/主婦の友社

出典 :いちばんよくわかる妊娠・出産※情報は掲載時のものです

監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長
日本医科大学卒。都立築地産院産婦人科医長として勤務する傍ら、日本医科大学産婦人科講師を兼任。1995年小川クリニックを開設。医学博士、日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医。妊婦さんの疑問や悩みに真摯に応えてくれる、気さくで頼りになるドクターです。

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