英ウィリアム&ヘンリー王子も大好きな味!? イートン・メス【旅するパティシエ・世界の子どもおやつ Vo.1】

 専門家監修
公開日:2019/05/15
更新日:2019/06/04
英ウィリアム&ヘンリー王子も大好きな味!? イートン・メス【旅するパティシエ・世界の子どもおやつ Vo.1】
監修
鈴木 文
旅するパティシエ

新連載「世界の子どもおやつ」がスタート!日本に和菓子があるように、世界中にそれぞれの文化や歴史に紐づいた郷土菓子があります。この連載では、各地のお菓子やデザートを紹介しながら、遠く離れた世界中の国々に思いを馳せていきます。案内人は“旅するパティシエ”こと鈴木文さん。旅気分を楽しみつつ、親子でおいしいおやつを召し上がれ♡

“旅するパティシエ”と世界のおやつをめぐる旅へ!

初めまして!パティシエの鈴木文です。

かつて私は都内のホテルやパティスリーでフランス菓子の職人として修業をし、シェフパティシエとなって新しいデザートを考案する日々を送っていました。しかしその一方で「お菓子が持つ背景やストーリーを伝えられるパティシエになりたい」という思いを強く抱くように。その土地でしか出会えないお菓子、その土地の歴史や文化の中で育まれてきた郷土菓子を学びたいと考え、やがて世界中を旅するようになりました。

特に2016年からの約1年間は、華やかなフランス菓子の世界から飛び出して、世界一周の旅へ。旅先で心惹かれるお菓子に出会うと、カフェや店先で話を聞き、あるときはパティスリー、あるときは家庭のキッチンに入れてもらって、「現地のお菓子を、現地の人々と一緒に作る」ということにこだわりました。

気づけば、これまでに訪れた国は50ヵ国以上。出会ったおやつは500種類以上に。

この連載では、そんな“おやつの旅”で出会ったレシピを、日本人の好みや日本の風土に合わせて、小さな子ども(※)でも楽しめるように創作しました。遠い土地で生まれ育ったおいしさに触れながら、そのおやつが愛されている国々についても親子でおしゃべりできるよう、現地で暮らす人々からこっそり教わったストーリーも添えてお届けします。

さぁ、一緒におやつの旅へ出かけましょう!
※この連載のレシピは、幼児食が進んだ5~6歳以上の子どもを対象にしています。

1年間の旅から戻り、昨年長男を出産。現在は古民家をリノベしたお菓子工房で世界のおやつ販売やレッスンを行う他、日本各地への旅を続けながら、“おやつが持つ物語”をお伝えしています

“イートン・メス”のふるさとイギリスってどんな国?

皆さんと巡るおやつの旅、第1回目はイギリスです。ご紹介するのは、“イートン・メス”というデザート。どんなおやつなの?という話の前に、イギリスについて少しだけ触れておきましょう。

◆国名:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)

◆首都:ロンドン

◆面積:24.3万平方キロメートル(日本の約3分の2)

◆人口:6,565万人(2016年)

◆言語:英語(ウェールズ語、ゲール語等使用地域あり)

◆宗教:英国国教等

※出典:外務省HP内「キッズ外務省

東京とイギリスの首都ロンドンとの距離は約9,500km。ヨーロッパの大国イギリスは、日本から飛行機で12時間半ほどかかる遠い国ですが、日本と同じ島国であることや王室の存在(日本の場合は皇室ですが)といった共通項があるせいか、どことなく親しみを感じている人も多いのではないでしょうか。

私たちがイギリスと呼んでいる国は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国から成り立つ連合王国。各国にそれぞれの文化や伝統、アイデンティティがあり、イギリスとひとまとめにされるのを嫌がる傾向があるのだそう。2019年5月現在、イギリスの元首はエリザベス2世です(立憲君主制のため、エリザベス女王は国を統治してはいません)。

歴史の中で重要な役割を担ってきた国であると同時に、文化や芸術、スポーツを愛するお国柄でもあります。例えばイングランドはサッカーの母国と言われ、テニスの世界四大大会の1つウィンブルドンも開催されています。博物館や美術館も数多く、街には古い歴史を持つ建物がずらり!伝統を重んじるとともに、ファッションや音楽のシーンでは常に新しいものを生み出し続ける、そんなパワーも秘めたチャーミングな国。

こちらはロンドンから電車で40分の街、ギルフォードの中心にあるハイ・ストリート。この石畳が最初に敷かれたのは、なんと1860年代のことだそう

そうそう、イギリス人はガーデニングも大好き。ごくごく普通の家庭の庭や公園で、美しい庭を目にすることができます。

ギルフォード城の庭園。入場無料で、誰でも自由に出入りすることができます

そしてイギリス文化の中で忘れてはいけないのが、紅茶でしょう。イギリス人は無類の紅茶好き。日本人が緑茶をがぶがぶ飲むのと同じような感覚かな?と思うのですが、イギリスの人々は1日に5回でも6回でも紅茶を飲むといわれています。学校や会社では10時、15時にティータイムを設けているところもあるのだとか。小さな子どもも、大人も学生も、年齢問わず“ビスケットと紅茶でおやつタイム”だなんて、なんだかちょっと素敵ですよね。

イギリスの郷土おやつは素朴なホームメイドが主流

イギリスの料理に関して、実はあまり期待をしていなかった私。なぜなら「あまりおいしくない」という声を聞くことが多かったから。お店やさんで食べられるものといえばフィッシュ&チップス。甘いものといえば、アフタヌーンティーなど観光客向けなメニューが目立ちます。

ロンドンのカフェでは、紳士淑女がアフタヌーンティーを楽しんでいました。写真は紅茶とスコーンのセット。酸味のきいたジャムと、たっぷりのクロテッドクリームを塗っていただきます

ロンドンだけでなく、田舎町でも探しまわりましたが、地元に根付いた美味しいおやつがなかなか見つかりません。そうか!きっと、家庭にあるんだ!と、知り合いのつてを頼りに、ロンドン郊外の一般家庭へ。そこで、さまざまなホームメイドおやつを教わることができました。

ロンドンの街中でみられるのは、フランス寄りのケーキ。東京のカフェと似た光景を目にし「イギリス独自の郷土菓子を知るには、家庭に入っていくしかない!」と感じました

やはり予想した通り、イギリスの郷土おやつはホームメイドが基本のよう。私がイートン・メスを教わったのは30歳の男性なのですが、驚くことにお母さんから習ったレシピをさらっと作れるんですよ。“ローリーポーリー”という伝統的なロール蒸しケーキも初体験!彼の家には、なんとおばあさまが使っていたお料理本まで残っていました。そういえばイギリスの家庭ではオーブンがあるのが当たり前だし、オーブン料理が定番。母親と一緒に小さいころからお菓子を焼くのは、わりと自然なことなのかもしれません。

イギリスを代表するお菓子といえば、どっしりとしたプディングやアップルクランブルなどの焼き菓子。日持ちと腹持ちがよく、海軍兵のお腹を満たすのにもぴったりだったことから発展したという背景があり、かつて大英帝国の占領下にあった南アフリカやジャマイカなどを訪れたときも、イギリスのお菓子文化が根付いている様子を目の当たりにしました。

南アフリカ共和国のケープタウンで出会ったアップルクラングル。南アフリカでは、お菓子文化にもイギリス統治時代の影響が色濃く残っています

メレンゲが主役♡“イートン・メス”とは?

今回ご紹介するお菓子は、メレンゲや生クリーム、フルーツなどを盛りつけた“イートン・メス”というデザート。ウィリアム王子やヘンリー王子の母校として知られる名門パブリックスクール「イートン・カレッジ」生まれで、イートン校vsハーロー校のクリケット対抗戦でも昔から振る舞われてきたそうですよ。“メス”は英語のmessで、めちゃめちゃとか混乱という意味。イートン校の生徒たちが、クリケットの試合で出されたこのデザートを、ぐしゃぐしゃっと楽しそうにかき混ぜながら食べている様子が目に浮かぶようですね。

ギルフォードのカフェで出会ったイートン・メス。現地では平皿にラフに盛りつけるのが一般的なスタイル

サクサクのメレンゲ、アイスクリームやホイップクリームの上に季節のベリーをトッピング。これをざくざくっと崩して混ぜながら食べるのがおいしい!

イートン・メスの主役は軽い歯ごたえのメレンゲです。実は私、あまりメレンゲが得意ではなかったのです。よくヨーロッパでは、メレンゲだけが袋に詰めて売られているのですが、甘いだけというイメージを持っていました。

でも、“イートン・メス”を食べてみたら……酸っぱい果物とメレンゲのハーモニーが絶妙!メレンゲって以外とイケる!先入観ってよくないな、と反省したイギリスの旅でした。

簡単レシピ♡子どもと“イートン・メス”を作ってみよう!

材料

コップやグラス2つ分(約2人前)を記載しています。各材料の分量は好みに応じて変えてくださいね。
イギリスではベリー類がよく用いられますが、特にこだわる必要はなく、日本で売られている旬のフルーツなどを選べばOK。ただし酸味が強いもののほうがメレンゲの甘みと好相性です。キウイなどもおすすめですよ。
ママやパパ、子どもたち、それぞれが好きなものを好きだけのせて、味の違いを食べ比べてみるのも楽しそう♪

※このレシピは、幼児食が進んだ5~6歳以上の子どもを対象にしています。
※固さや味付け、材料の大きさなどを大人がチェックしてから食べさせるようにしましょう。
※事前に材料をチェックし、アレルギーを持つ食材が入っていないか十分気を付けてください。

【メレンゲ】
◆卵白……50g
◆グラニュー糖……45g
◆粉砂糖……50g

【ホイップクリーム】
◆生クリーム……100g 

【その他】
◆バニラアイス:100g
◆苺(他の酸味のある季節の果物)……適量
◆フランボワーズ(冷凍も可)……50g
◆苺ジャム(市販品)……20g

作り方

①メレンゲを作ります
A ボウルに卵白を入れて、グラニュー糖を3回に分けて加えながら、ハンドミキサーで泡だてます。

このくらいまで卵白を泡立ててから、グラニュー糖を加えるのがポイント。3回に分けて加えながら泡立てます

B ふるった粉砂糖を加えて、ゴムベラで粉っぽさがなくなるまで合わせます。

この程度まで角が立ったら、粉砂糖を加えます

C Bをスプーンですくい、オーブンシートの上に落として、好きな形に薄くのばします。

鉄板にオーブンシートを敷き、スプーンの背中側やゴムヘラを使ってメレンゲを自由に伸ばします。幼稚園くらいのお子さんなら、一緒に楽しめそう!

D Cを110°Cに予熱したオーブンで約1時間焼きます。しっかり乾燥したら取り出し、そのまま冷ませばメレンゲの出来上がり。

②生クリームを泡だてる

③フランボワーズをフォークの背などでつぶしてソース状にする

左奥はオーブンで焼きあげたメレンゲ、右奥はしっかり泡立てたホイップクリーム。フランボワーズ(手前中央)を解凍してつぶすと、手前右のようなピューレ状のソースになります

④苺を好みの大きさにカットする

⑤仕上げ/下記の順でグラスに入れていきます
崩したメレンゲ

バニラアイス

苺ジャム

泡だてた生クリーム

フランボワーズソース

カットした苺

崩したメレンゲ

⑦完成!
現地では平皿にのせるのが一般的ですが、今回はちょっぴり気どって(!?)グラスに盛りつけてみました。とはいえ難しく考える必要はなく、おうちにあるグラスでじゅうぶん!ママ友が遊びに来た時には、ミントやタイムなどのグリーンを飾ると初夏~夏にぴったりのさわやかな雰囲気になりますよ。

世界の子どもおやつ、Vol.2は6月12日(水)公開!ケニアの人々に愛されるおやつ、“マンダジ”をご紹介します。お楽しみに♫

★世界のおやつ×Millyのコラボレッスン開催決定★

今回ご紹介した“イートン・メス”のレッスンが開催されます。鈴木文さんのデモンストレーションを実際に見て、一緒に作って、旅の話も聞けちゃうまたとないチャンス!

◆日時:6月8日(土)13時~15時30分
◆場所:シーナと一平(西武池袋線 椎名町駅より徒歩4分)
◆詳細:「世界のおやつ」公式サイトをご覧ください。

世界のおやつ

撮影/佐山裕子(主婦の友社写真室)
イギリスの写真提供/鈴木英嗣
イラスト/砂糖ゆき
取材・文/雨宮あかり

発売中 :旅するパティシエの世界のおやつ※情報は掲載時のものです

監修
鈴木 文
旅するパティシエ
高校生の頃にお菓子作りをスタート。立教大学卒業後、株式会社バーニーズジャパンを経てパティシエに転身。ペニンシュラホテルのフレンチレストランやパティスリーで修行を積んだ後、会員制レストランでシェフパティシエに就任。退職後、世界各地でお菓子を作る旅に出る。50ヵ国以上を訪れ、500種類以上の郷土菓子と出会った経験をもとに、お菓子ブランド「世界のおやつ」を主宰。2018年に長男を出産。企業や自治体、大使館などの商品開発や店舗プロデュース、観光プロモーションなどにも携わりながら、“旅するパティシエ”として、創作菓子とともに、旅とお菓子のストーリーを届けている。
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