赤ちゃんの熱が下がらないときの対処法 ホームケアとチェックしたいポイント【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/01/21
更新日:2019/03/22
赤ちゃんの熱が下がらないときの対処法 ホームケアとチェックしたいポイント【小児科医監修】
監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック

この記事は、赤ちゃんの熱が下がらないときの対処法やホームケアなどについて解説しています。高熱が続くと脳にダメージがあるのでは? 解熱剤で熱を下げたほうがいい? 赤ちゃんの熱が下がらないと心配で、いろいろな疑問が頭に浮かびますよね。そんな疑問にお答えするとともに、熱と闘っている赤ちゃんをサポートする方法についてお伝えします。

熱が下がらないとき、赤ちゃんの体では何が起こっているの?

ウイルスや細菌などの病原体が体内に入ると、免疫システムがそれらを撃退しようと働き始めます。この反応が鼻で起こると鼻水が、のどで起こると咳やたんが出ます。では熱は? というと、全身で免疫が反応すると、熱が高くなります

これはウイルスには熱に弱い性質があるため。体温が高いほうがウイルスは増殖しにくくなるのです。

同時に免疫細胞の働きも、体温が上がると活発になります。私たちの身体は、熱が上がるとウイルスへの抵抗力が増すのです。

熱が下がらないのは、赤ちゃんの体の中でまだ病原体との闘いが続いている、ということ。熱は病原菌をやっつけるために出ているものですから、「早く下げなければ」とあせる必要はありません。

赤ちゃんの熱が下がらないとき、
「何度を超えると危険」という目安はある?

必要があるから発熱している、とわかってはいても、熱が続くとやはり心配になるもの。何度以上だと危険、という目安はあるのでしょうか。

まず赤ちゃんは大人より平熱が高く、一般的に37度4分までが平熱とされています。37度5分~37度9分までの熱なら微熱。38度以上を発熱と考えます。

「高熱は何度から?」というと、厳密な医学的基準はありません。しかし、一般的に39度以上は高熱と捉えていいでしょう。

では、39度、あるいは40度を超えたら危険なのかというと、そんなことはありません。赤ちゃんが発熱したときに重症度を判別するポイントとなるのは、熱の高低ではなく全身状態

熱の高さに関わらず、ぐったりしていてつらそう、食欲がなく水分もあまりとらない、などの様子が見られれば、重症のサインです。

「熱が高い」イコール「重い病気」ではないので、「〇度以上になると、危険」といった目安もありません。

「高熱が続くと脳にダメージがある」というのは間違い

「高熱が続くと脳に悪い影響がある」という説もありますが、これも間違いです。確かに重症化したケースで高熱が続くことがありますが、これは熱のためではなくウイルスや細菌が脳に入り込んだことが原因

脳に病原菌が入り込むと、髄膜炎や脳炎、脳症などの病気を発症することがあります。これらの病気は高熱をともなうことが多いため、「高熱が続くと、脳によくない」と誤解されるのでしょう。

熱中症のように環境からの影響で強制的に高熱になるときは、生命に危険が及ぶことがありますが、病原体と闘うために、体の防御反応として発熱する場合は、熱くなっただけで脳が悪影響を受けることはありません。また、高熱だと脳に病原菌が入り込みやすくなる、ということもありません。

赤ちゃんの熱が下がらないとき、ホームケアのポイントは?

赤ちゃんの熱が下がらないときは、赤ちゃん自身の免疫力で病原菌を撃退できるよう、サポートすることが大切です。赤ちゃんが少しでも快適に過ごせるように、次の3つのポイントに気を配りましょう。

水分の補給

高熱が続くと、呼吸が速くなったり汗をかいたりして、体から水分が奪われます。ホームケアでは水分を補給することを第一に心がけましょう。

母乳やミルクをいつもどおり十分に飲めているなら、それだけでも大丈夫。あまり飲まないという場合、白湯や麦茶、ベビー用のジュースなど赤ちゃんが飲めるものを飲ませましょう。

1回に飲む量は、ほんの少しでかまいません。飲ませすぎということはないので、「少しずつ」「何回も」を心がけてください

下痢や嘔吐がある、あるいは汗を大量にかいている場合は、ベビー用のイオン飲料や経口補水液を少量ずつ飲ませると、脱水症になるのを効率よく防ぐことができます。

ただし、大人用のイオン飲料を薄めて、赤ちゃんにあげるのはNG。必ず赤ちゃん用のものにします。

室温の調節

室内は温度と湿度を調節して、快適な状態を保ちましょう。

温度

大人が快適と感じる温度に設定します。夏なら25~28度、秋から冬は23~25度程度が目安です。赤ちゃんの過ごす場所は、エアコンの風が直接当たらないところにしましょう。

湿度

冬など空気が乾燥する時期は、湿度にも気を配ります。40~60%をキープするのが理想的なので、加湿器を使ったりぬれタオルを干したりして調節しましょう。

衣服の調節

赤ちゃんの熱の上下に合わせて、衣類を調節するといいでしょう。

熱が上がるとき

体温が上昇するときは、末梢の血管が収縮するので手足が冷たくなります。寒気がするので、赤ちゃんがふるえることもあります。

そのようなときは、衣類を1枚着せたり上がけをかけたりして、体をあたためてあげましょう。

熱が上がり切ったとき

熱が上がりきると、赤ちゃんは体がほてり、手足も温かくなります。汗ばんだり、呼吸があらくなったりといった様子も見られるでしょう。

この段階では体に熱がこもりやすくなるので、厚着をさせないように気をつけます。赤ちゃんの顔が上気しているなら衣類を1枚減らすなど、様子を見ながら調節しましょう。また汗で衣類がしめっている場合は、すぐに着替えましょう。

冷却ジェルシートは使用したほうがいい?

冷却ジェルシートをはると、皮膚の表面温度が4度ほど下がります。ですから、顔がほてっているときにおでこに貼ってあげると、赤ちゃんは気持ちいいかもしれません。

ただし、冷却シートに熱を下げる効果はありません。ですから、赤ちゃんが嫌がるなら無理じいしないようにしましょう。

短時間のシャワーはいつからOK?

発熱時はいつも以上に汗をかくので体の清潔を保つことも大切です。高熱が続いているときは、やわらかいタオルをぬるま湯でしぼり、やさしく全身をふいてあげましょう。

ただ数日間お風呂に入れない日が続くと、さっぱりさせてあげたい、という気持ちになりますよね。熱が上がりきって下がってきたときなら、短時間のシャワーでささっと汗を流してもいいでしょう。

ただし、シャワー前に赤ちゃんの様子をしっかりと観察します。機嫌がよく水分がしっかりとれているならシャワーOKですが、機嫌がよくなかったり、だるそうだったりするなら、シャワーはやめておきましょう。

また気温が低い時期は、お風呂や脱衣所を温かくして、体が冷えないように気をつけましょう。

赤ちゃんの熱が下がらないとき、
どんなタイミングで解熱剤を飲ませればいい?

熱が出て病院を受診すると、医師から解熱剤が処方されることがあります。解熱剤はいつ、どんなタイミングで使えばいいのでしょうか。

まず、大前提。熱は病原菌をやっつけるために出ているものですから、解熱剤でむやみに下げようとするのはよくありません。

解熱剤で熱を下げても、薬の効果が切れれば再び熱は上がります。そこでまた熱を下げようと、何度も解熱剤を使うことになりがちなので、熱の高さに惑わされないようにしましょう。

では、解熱剤はいつ使えばいいのかというと、赤ちゃんが熱のためにつらそうなとき。例えば、ぐったりしていて水分がとれない、おっぱいやミルクが飲めない、グズグズしていて眠れないときなどに、解熱剤で熱を下げると、赤ちゃんは体がラクになります。

その間に、水分をとったり眠ったり、食欲があるなら消化のいいものを食べたりすると、病原菌と闘うための体力を回復させることができます。

反対に、熱が続いていても機嫌がそれほど悪くなく、水分もとれているなら解熱剤を使う必要はありません。

赤ちゃんの熱が受診後も下がらないとき、どうしたらいい?

病院を受診したあとも熱が続くと、もう一度病院に行くべきか、家で様子を見るべきか迷いますよね。最初の受診のときに、「〇日経っても、症状が続いていたらまた来てください」など医師から指示があった場合はそれにしたがいます。

指示が特にない場合は、2~3日後を目安に再受診するといいでしょう。また、嘔吐や下痢、ひどい咳、発疹など熱以外の症状が出てきたら、その時点で受診します。

家で様子を見ているときは、次から紹介するポイントをチェックして、再受診のときに医師に伝えるといいでしょう。また様子がおかしいと思ったら、夜間であっても、すぐに病院に向かってください。

水分摂取・食欲のチェック

水分がとれているかの確認は、非常に重要です。水分がとれないと、脱水症の危険性が出てくるからです。

唇がカサカサに乾燥したり、涙やよだれが出なくなったりするのは、脱水症の初期症状です。その場合、少量ずつでいいので、くり返し水分を与えます。

それでも水分がほとんどとれず、おしっこの量や回数が極端に少なくなる、グッタリするなどのサインが見られたら、脱水症が進行している可能性があります。すぐに病院へ向かいましょう。

また、水分が十分にとれていれば、2日ほどは食べなくても大丈夫です。ですから、無理に食べさせる必要はありませんが、食欲の有無や食べた量はチェックしておきましょう。

意識のチェック

声をかけたりおもちゃを近づけたりすると反応があるか、ママが近づくと見るか、などをチェックします。ぐったりしていて反応がない場合は、すぐに病院を受診しましょう。

熱の高さのチェック

熱は朝、昼、夕方などだいたい同じタイミングで1日に3~4回はかります。熱の推移は記録しておくといいでしょう。

異変のチェック

38度以上の熱が出ると、その刺激によって熱性けいれんが起こることがあります。熱性けいれんを起こすと、体が硬直し、白目をむいて1点を凝視したり、体が弓なりになったりします。その後、手足をぴくぴくふるわせることもあります。

もしけいれんが起こったら、できるだけ気持ちを落ち着けて時間をはかります。同時に衣服はゆるめ、吐いた場合にそなえて顔を横に向けます。

呼吸を確保しようと口に物を入れたり、ゆさぶったりするのは絶対にしてはいけません。

熱性けいれんは単純型であれば、5分以内におさまります。赤ちゃんの呼吸が落ち着いていることを確認し、病院を受診しましょう。

5分以上けいれんが続く場合や、左右非対称のけいれんの場合は、ためらわず救急車を呼んで、病院に向かってください。

監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック
東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、山王病院、NTT東日本関東病院などの勤務を経て、現職。専門は小児アレルギー。私生活では四女の母でもある、やさしくパワフルなドクターです。

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