急性胃腸炎はうつる病気! 感染を予防する方法は?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/03/05
更新日:2019/03/22
急性胃腸炎はうつる病気! 感染を予防する方法は?【小児科医監修】
監修
十河 剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科副部長

この記事は、急性胃腸炎についてまとめたものです。突然、赤ちゃんが吐いたり、下痢をしたりしてママを驚かせる急性胃腸炎。いちばんつらいのは赤ちゃんですが、お世話するママも、吐いたものや下痢の後片づけは大変。それに、ウイルス性の急性胃腸炎はうつりやすく、油断すると家族全員に感染してしまうこともあります。ホームケアと感染予防について知っておきましょう。

急性胃腸炎とはどんな病気? 感染力が強い病気なの?

急な嘔吐と下痢から始まる、いわゆる「おなかのかぜ」です

急性胃腸炎とは、「おなかのかぜ」ともいわれ、ウイルスや細菌に感染して起こる胃腸炎です。赤ちゃんから大人まで、どの年代の人もかかります。とても感染力が強く、赤ちゃんがかかったのがきっかけで家族全員に感染することもあり、保育園や幼稚園などでもすぐ広がります。

急性胃腸炎にはどんな種類がある? 

急性胃腸炎の原因はウイルスや細菌

急性胃腸炎の多くは、ウイルスに感染することで起こります。ウイルスは口から体内に入り、腸の中で増殖して腸の粘膜を壊します。感染した人の便や吐いたものから飛び散ったウイルスを吸い込んだり、手についたウイルスをなめたりすることでも感染します。

乳幼児に最も多いのはノロウイルス・ロタウイルスによる胃腸炎

急性胃腸炎の原因となるウイルスはたくさんあります。乳幼児に最も多くみられるのは、ノロウイルスやロタウイルスによる胃腸炎です。一般的に、ウイルス性胃腸炎は冬に流行しやすく、ノロウイルスは秋~冬(11~1月)、ロタウイルスは冬から春(1~5月)、に多くみられます。

夏を中心に一年中みられる、アデノウイルスによる胃腸炎

一方で、アデノウイルスが原因の胃腸炎は夏を中心に一年中みられます。急性胃腸炎の原因になるウイルスには多くの種類があるため、一度だけでなく、何度も胃腸炎にかかる可能性があります。

サルモネラ菌や病原性大腸菌などの細菌が原因の胃腸炎も

急性胃腸炎にはウイルスに感染して起こるもののほか、サルモネラ菌や病原性大腸菌などの細菌が原因で起こる、細菌性胃腸炎もあります。「食あたり」と言われるものは、これにあたります。

急性胃腸炎の症状は?

急激な嘔吐と下痢が主症状

急な嘔吐や下痢から始まり、熱が出ることもあります。とくに下痢がひどく、おむつからもれるような水っぽいうんちが1日数回~十数回も出ます。白っぽいうんちが出ることがありますが、色があまり変わらないこともあります。最初は何度も繰り返し吐きますが、嘔吐のピークは発症してから半日ほどです。

下痢のひどい症状は3~5日でおさまり、あとは自然に2週間以内に治っていきます。
ロタウイルスによる胃腸炎は、ノロウイルス性胃腸炎より症状が重くなりやすい傾向があり、ひどい下痢が1週間ほど続くこともあります。発熱、急性腎不全、脳症などの合併症を起こすこともあるため、注意しましょう。
ただしこれらはあくまでも、典型的な症状や経過です。必ずしもこの通りではない場合もあります。赤ちゃんの機嫌をよく観察し、おかしいと思ったら早めに受診しましょう。

脱水症を防ぐためにこまめな水分補給を

ウイルスに効く薬はないため、脱水症に気をつけながら自然に症状が治まるのを待ちます。
下痢と嘔吐が重なると、体内の水分や電解質が急激に失われて脱水症を起こしやすくなります。脱水症は悪化すると命に関わることもあるため、こまめな水分補給を心がけましょう。

脱水予防のためには、水分と電解質を効率よく吸収できる経口補水液が最適です。吐き気が強いときは、ティースプーン1杯(5ml程度)を5分おきに飲ませましょう。吐き気がおさまってきたら、間隔を短く、量を増やしていきます。

急性胃腸炎の感染予防のための注意点を教えて

吐いた後の処理をするときは手袋とマスクをつけて

ウイルス性胃腸炎はとても感染力が強い病気のため、家庭内感染を防ぐために細心の注意を払うことが必要です。吐いたあとの掃除や、吐いたものの処理をするときは、使い捨てのマスクと手袋を着用します。

吐いたものや便はペーパータオルで静かにふき取り、おむつと一緒にビニール袋に入れます。掃除や後処理が終わったら、マスクや手袋などもすべて一緒にビニール袋に入れ、しっかり密閉して捨てましょう。

アルコール消毒は効果がありません

ノロウイルスやロタウイルスは感染力が強いだけでなく、とてもしぶとくアルコール系の消毒薬では殺菌できません。一般的な除菌剤でウイルスを除去することはできず、有効なのは、次亜塩素酸ナトリウムです。吐いた後の掃除や洗濯には、塩素系の漂白剤や消毒剤(商品名/ハイター、ミルトンなど)を使用します。

吐いたものや便がついた床などは、水500mlに塩素系漂白剤10mlを入れて薄めた液にぞうきんなどを浸してしぼったもので拭きましょう。
衣類は、ほかのものと分けて洗濯し、日光にあてて十分に干しましょう。

子どもが急性胃腸炎にかかってしまった
先輩ママの体験を教えて!

●ロタウィルス胃腸炎

脱水症状ですぐに入院。白いうんちが出ました

夜中に突然の嘔吐。30分おきに5〜6回も吐き、飲みものさえ戻してしまいました。翌朝の受診でロタウィルス胃腸炎と診断され、脱水状態がひどくなっていたためにすぐに入院となりました。3日目くらいからは下痢が始まり、白いヨーグルトのようなうんちが1日2〜3回出ました。熱は2〜3日間少し出た程度。入院時は点滴と整腸剤で処置を受け、約1週間で退院しました。このころには食欲も戻ってきていました。今思うと、嘔吐が始まった夜中に救急病院へ連れて行くべきだったと反省しています。(1才3ヶ月Yくんママ)

●ノロウィルス胃腸炎

初めて迎える誕生日に家族みんなで感染

誕生日前日の早朝、いきなりの嘔吐。起きてからも機嫌が悪く、38度台の熱もあったので病院へ。先生の面前で吐き、すぐにノロウィルス胃腸炎と診断されました。整腸剤と吐きけ止めの坐薬をもらい、先生に「帰宅後すぐに坐薬を入れて3時間は横にさせ、水分補給を心がけるように」と言われ、そのとおりにしました。結局その日は8回も吐き、夕方から下痢も。4日目に吐きけはおさまってきましたが下痢は続き、1週間で回復しました。誕生日当日には私と夫にも感染し、つらい看病でした。(1才Tくんママ)

文/出村真理子

イラスト/もり谷ゆみ

監修
十河 剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科副部長
1995年、防衛医科大学校医学部卒業。複数の病院勤務を経て2007年に済生会横浜市東部病院小児科医長、13年より現職。専門は肝・胆道疾患。武道の有段者で、二児のパパでもあります。

あなたにおすすめ

注目コラム