ヘルパンギーナの症状は?手足口病との違いや潜伏期間【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/01/24
更新日:2019/03/22
ヘルパンギーナの症状は?手足口病との違いや潜伏期間【小児科医監修】
監修
渡辺とよ子先生
わたなべ医院 院長

この記事は、ヘルパンギーナの症状や潜伏期間などについてまとめたものです。ヘルパンギーナ……なんだか耳慣れない病名ですが、これは「夏風邪」の一種。夏は発熱と発疹、口の中の潰瘍などの症状が出る感染症が多く、ヘルパンギーナもそのひとつです。ヘルパンギーナとはどんな病気なのか、症状が似ている手足口病との違い、などについて小児科医に聞きました。

ヘルパンギーナとはこんな病気

暑い季節に増え、「夏風邪」とも言われます

ヘルパンギーナは、発熱や口の中のブツブツが特徴的な病気。手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)とともに「夏風邪」と呼ばれることがあり、暑い季節に患者が増えます。

小さな子供は季節を問わず風邪にかかるものですが、「夏風邪」の原因ウイルスと、冬に活発になるウイルス(インフルエンザウイルス、RSウイルスなど)とは異なります。

ウイルスの種類により、何回かかかることも

日本の高温多湿の夏に活発になるのは、エンテロウイルスやコクサッキ―ウイルス、アデノウイルスなどです。このうち、ヘルパンギーナの原因になるのはエンテロウイルスとコクサッキーウイルス。ただし、これらのウイルスにはいろいろな型があります。感染した型の種類によって症状は少しずつ異なりますし、複数回かかることもあります。

感染力は強く、くしゃみやせきなどのほか、うんちにふれることによっても感染します。ウイルスはうんちの中に排出されているため、おむつ替えの際にウイルスがついた手で調理をすると別の人にうつす可能性が。おむつ替えのあとの手洗いは、「夏風邪」予防の大切なポイントです。

ヘルパンギーナの症状は?

熱は2~3日で下がることが多い

ヘルパンギーナは、突然の発熱とのどの痛みから始まります。熱はやや高く39度台になることがありますが、2~3日で自然に下がります。

熱の上がりはじめにけいれんを起こす子もいるので注意しましょう。熱性けいれんは命にかかわるものではなく数分でおさまるので、落ち着いてから受診しましょう。ただし、5分以上続くものは単なる熱性けいれんではない可能性があるので、救急車で病院へ。ふるえを止めようと口にものをくわえさせるのは危険なので、絶対にしないでください。

のどの奥に水疱ができる

発熱と同じくらいの時期に、のどの奥がはれてたくさんの水疱ができることがあります。水疱がつぶれて潰瘍(かいよう)になると痛みで不機嫌になり、唾液も飲み込むことができなくなります。そのため、よだれがたくさん出たり、吐きやすくなったりすることが。水疱は、熱が下がってから2日程度で消えていきます。

ヘルパンギーナのどの奥、左右に赤くなっているのが、ヘルパンギーナの典型的な発疹です。しみて痛むので食欲が落ちます。

まれに髄膜炎などの合併症を起こすことが

ヘルパンギーナは本来、軽い病気です。「夏風邪」と称されるように風邪の一種とされ、重症化することは少ないのですが、ごくまれに髄膜炎を起こすことがあります。ウイルスが脳や脊髄の表面をおおっている髄膜に入り込んで炎症を起こすもので、熱の高さには関係ありません。ただしウイルス性の髄膜炎は、細菌性の髄膜炎にくらべると症状が軽く、後遺症が残ることはほとんどありません。

髄膜炎のほかには、脳炎、心筋炎などの合併症もあります。いずれもまれなケースではありますが、高熱、頭痛、繰り返す嘔吐、ぐったりするなど、見るからに様子がおかしい場合はすぐに受診してください。

ヘルパンギーナと手足口病の違い

原因ウイルスは同じ仲間

「夏風邪」とひとくくりにされることもあるヘルパンギーナと手足口病。その原因ウイルスは、どちらもコクサッキ―ウイルスやエンテロウイルスです。原因ウイルスが同じ仲間なので、症状も似ています。

ともに発熱と発疹が特徴的な病気ですが、典型的な症状の場合、少し違いがあります。

ヘルパンギーナ/熱はやや高めで40度近くなることも。水疱はのどの奥にできる。

手足口病/熱はあまり高くならず、出ないこともある。水疱は口の中のほか、手や足にもできる。

治療やホームケアに大きな違いはない

ただしこれらの違いは、あくまでも典型的な例を比べた場合です。ウイルスの種類によっては手足口病でも高熱になるなど、この通りにならないケースもあります。

ヘルパンギーナにも手足口病にも特効薬はなく、つらい症状をやわらげながら自力で治るように安静と水分補給を心がけるのが基本です。どちらであっても治療やホームケアに大きな変わりはなく、どちらかを見きわめようとすることに、あまり意味はありません。

ヘルパンギーナに感染しやすい時期は?

季節は夏

6月~8月ごろの暑い季節に活発になるウイルスが原因のため、夏になると患者が増えます。夏風邪、と言われることもあります。

患者の90%は5歳以下

ヘルパンギーナにかかりやすくなるのは、1~2歳からで、患者の90%は5歳以下です。1歳代が最も多く、2歳代、3歳代、4歳代と年齢が高くなるにつれて数が減ってきます。ただし、赤ちゃんでもかからないわけではありません。6カ月を過ぎるころにはおなかの中でママからもらった免疫もなくなってきます。

比較的軽い病気ですが、年齢や月齢が低いほど症状が重くなる傾向があります。夏は暑さのために体力が落ち、ウイルスに感染しやすくなるので、小さな子は特に予防やケアに気を配ってあげたいですね。

ヘルパンギーナの潜伏期間はどのくらい?

感染後、2~4日の潜伏期間を経て症状が現れます。のどの奥やうんちに排出されるウイルスの数は、発症の前日から数日間が最も多くなります。

ただし、症状が消えても1ヶ月ぐらいの長期にわたって、うんちにはウイルスが排出されています。おむつ替えのあとの手洗いはしっかり行いましょう。

手洗い手洗いは病気予防の基本です。おむつ替えのあともしっかり洗いましょう。

ヘルパンギーナの安静期間は? 保育園には行ける?

子供の様子をよく観察して

「ヘルパンギーナにかかったら1週間は安静にしましょう」などと、一概に言うことはできません。症状の重い軽いには個人差がありますし、かかった年齢、合併症を起こしたかどうかなどによっても、安静期間は変わってくるからです。

子供は本来エネルギーにあふれ、周囲におかまいなく自分が動きたいように動くものです。普段は元気に動き回っている子が「いつもよりおとなしい」「なんとなく元気がない」「食欲がない」「機嫌が悪くてグズりがち」「やたらと甘えてくる」など、いつもと違う様子があったら、体調が万全ではない可能性があります。いつものその子かどうかをよく観察してください。

特に、自分の調子を言葉で伝えられない赤ちゃんの体調は、親が気づいてやる必要があります。

赤ちゃんの病気の診断をするのに必要な情報のうち、「診察や検査で得られる情報は2割ぐらい。残りの8割は親御さんからの情報をもとにしています」と言う医師もいます。それぐらい、いつも赤ちゃんを見ている人の情報は重要なのです。

少なくとも、平熱かどうか、食欲はどうか、機嫌はどうか、この3点をよく観察して普段の様子と違わないかどうかを見きわめましょう。

「安静」とはどういうこと?

「安静に」と言うと無理やり布団に寝かせようとする人がいます。が、小さな子供にとって、それは無理な話。言葉のコミュニケーションがおぼつかない0~2歳児ならなおさらです。

もちろん、だるくて起き上がりたくなくて布団でゴロゴロすることもあるでしょうが、起きて絵本を読んだり好きなビデオを見たりしていてもいいのです。

「安静」とは興奮するような刺激や、体を使う遊びなどをせず、家で静かに過ごすこと、と考えましょう。

安静必ずしも眠る必要はありません。家の中で静かに過ごしましょう。

登園は園の決まりに従って

ヘルパンギーナは幼稚園や保育園の登園停止の対象になる病気ではありません。また、症状が消えて「治った」と思っても、うんちからは長期にわたってウイルスが排出されています。ですから、発病した人を厳格に隔離することにあまり意味はありません。熱が下がって普段通りに食事がとれるようになれば、保育園に行っても問題はありません。医師による証明書などは不要です。

ただ、うつる病気については園によっていろいろな考え方があります。通園している園の決まりに従ってください。

症例写真出典/はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア

写真一部出典/Baby-mo

出典 :はじめてママ&パパの 0~6才 病気とホームケア※情報は掲載時のものです

出典 :Baby-mo2018-2019年冬春号※情報は掲載時のものです

監修
渡辺とよ子先生
わたなべ医院 院長
札幌医科大学医学部卒業。都立築地産院新生児科部長、都立墨東病院新生児科部長、同病院副院長をへて、2014年に医療法人社団わたなべ医院に赴任。2016年よりわたなべ医院本院院長。日本麻酔科学会専門医、日本周産期新生児学会功労会員、日本新生児生育医学会功労会員、日本周産期新生児医学会周産期新生児専門医元指導医。多くの乳幼児をみてきた経験による、的確で親切な助言が好評。これまで『母乳育児 ミルク育児の不安がなくなる本』(主婦の友社)など監修に携わった育児本多数。


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