子供に使う坐薬とは?その使い方と注意点【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2018/12/20
更新日:2019/03/22
子供に使う坐薬とは?その使い方と注意点【小児科医監修】
監修
鳥海佳代子先生
とりうみこどもクリニック副院長

この記事では坐薬の基本的な使い方や注意すること、副作用などについて紹介します。子供によく処方される坐薬には、解熱鎮痛薬や吐きけ止め、けいれん止めなどがあります。子供が熱を出したとき、坐薬を処方されたというママは多いのでは? 坐薬の基礎知識をおさえておきましょう。

坐薬とは?

坐薬とは、肛門から入れて使う固形の外用薬のことです。

坐薬は先が細い形をしているので入れやすく、肛門内に入ると肛門括約筋が収縮するため、排出されにくくなります。体内に入った坐薬は、体温や分泌物によって徐々に溶けて作用します。坐薬には、内服薬と比べて次のようなメリットがあります。
・消化管を通過しないため、成分が分解されることが少ない
・嘔吐やけいれんなどの症状があっても投与できる
・食事の影響がなく、効果が比較的一定に保たれる
・冷蔵庫で保管でき、安全で家庭でも使いやすい

坐薬はどんな症状のときに効果があるの?

子供の場合は、熱が高いとき、吐きけが続くとき、「熱性けいれん」(発熱がきっかけになって起こるけいれん)が再度起こるのを防ぎたいときなどに、坐薬が処方されることがあります。

解熱鎮痛坐薬 効果と持続時間

解熱鎮痛坐薬(いわゆる「熱さまし」の坐薬)は、体温を調節する脳の中枢神経に作用して、一時的に熱を下げ、痛みを抑えるように働く薬です。病気そのものを治すわけではありません。一時的に熱を下げて、子供の体力の消耗を防ぐ目的で使います。

熱の上がり始めは血管が収縮するので、手足が冷たくなり、悪寒やふるえが出ることがあります。子供の手足をチェックして手足が冷たかったら、まだ熱が上がる可能性があります。寒そうにしていたら、布団を足したりして温めてあげましょう。熱が上がりきると、体がほてり、汗ばんできます。
坐薬を使うのは、38.5度以上の熱があって、
・眠りづらそうにしている
・食欲がなく、水分もあまりとれない
・ぐったりしている
などのとき。熱が上がりきり、このような様子があったら、子供を楽にしてあげるために坐薬を使いましょう。
しかし、薬で熱が下がっても病気が治るわけではありません。坐薬は熱を一時的に下げて病気と闘うための体力を回復するための手段と考えましょう。

解熱鎮痛坐薬の持続時間

子供の解熱鎮痛坐薬では、「アルピニー坐薬」、「アンビバ坐薬」、「カロナール坐薬」などがよく処方されます。これらの主成分は、どれもアセトアミノフェンという薬剤です。おだやかな効き目で、安全な薬なので小さな子供にも安心して使えます。

効果の発生時間や持続時間には個人差がありますが、投薬してから30分程度で効果があらわれ、約4時間解熱作用が持続します。

鎮痛解熱坐薬を使うときの注意点

まだ熱があるとき(再度使うとき)は6時間以上あける

一度使用しても、いったん下がった熱が再度上がることがよくあります。連続して使う場合は、最低6時間以上あけて使用します。使い方を誤ると、解熱効果が強すぎて、低体温になることがあるので注意して。

使用量をきちんと守る

一般的に坐薬の使用量は、子供の体重によって決まります。医師から「半分量」、「2/3量」などの指示が出た場合は、きちんと従いましょう。

解熱鎮痛坐薬の副作用

解熱鎮痛坐薬は、比較的副作用の少ない薬ですが、まれに食欲不振、下痢、軟便、嘔吐、発疹などがみられます。明らかにいつもと違う症状が見られた場合は受診しましょう。

吐きけ止めの坐薬 効果と持続時間

ウイルス性胃腸炎などにかかり、嘔吐が続くときは吐きけ止めの坐薬を処方されることがあります。

吐きけは、脳の延髄にある嘔吐中枢が刺激されたときに起こります。吐きけ止めの坐薬は、この嘔吐中枢に作用して、胃腸の消化機能に働きかけます。強い吐きけがあって、水分がとれないときや、吐いてばかりで苦しそうにしているときに、脱水症状を防ぐ目的で使います。解熱鎮痛坐薬と同じように、病気そのものを治す薬ではありません。

吐きけ止めの坐薬の持続時間

子供によく処方される坐薬は「ナウゼリン」です。ナウゼリンは脳の嘔吐神経に作用して、胃腸の働きを調節し、吐きけをしずめます。
投薬後、1~2時間で効果があらわれ、約4時間効果が持続します。

吐きけ止めの坐薬の注意点

解熱鎮痛坐薬と同様、使用量を守って使い、再度使うときは医師から指示された間隔を必ず守って使用します。また、どの薬にも共通することですが、以前処方された薬やきょうだいが処方された薬が残っていても、自己判断で使ってはいけません。吐きけがあるからとすぐ薬で抑えてしまうと、根本の原因がわからなくなることがあります。

吐きけ止めの坐薬の副作用

ナウゼリンの副作用として、ごくまれに意識障害やけいれんなどの重い副作用が起こるおそれがあります。明らかにいつもと違う症状が見られた場合は受診しましょう。

けいれん止めの坐薬 効果と持続時間

熱の上がりぎわに起こる「熱性けいれん」が、再度起こるのを防ぐために使われる薬です。熱性けいれんは乳幼児の3~8%が経験するといわれ、多くは1回だけですみますが、熱性けいれんを起こした子の約30%が2回目のけいれんを、さらにそのうちの20~30%が3回目を起こすといわれています。

けいれん止めの坐薬の持続時間

子供によく処方される坐薬は「ダイアップ」です。ダイアップは脳の神経を落ち着かせ、けいれんを抑える働きがあります。
投薬後、5~10分で効果が現れ、8時間以上持続します。熱性けいれん予防のためには37.5度以上の熱が出たときに使用し、8時間後にまだ解熱していない場合に2回目を使用するのが標準的です。

けいれん止めの坐薬の注意点

ダイアップは解熱鎮痛薬と併用することができますが、解熱鎮痛薬の効果が切れてまた熱が上がってきたときにけいれんを起こす可能性があります。それぞれの薬の使い方や使用量を医師にしっかり確認し、指示に従いましょう。

けいれん止めの坐薬の副作用

中枢神経に作用するので、眠けやふらつきが出たり、まれに興奮状態になったりすることがあります。明らかにいつもと違う症状が見られた場合は受診しましょう。

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坐薬の使い方

坐薬を扱うときは、まず手をしっかり洗いましょう。

1 必要量をカット

「1/2量」「1/3量」など指定された場合は、包装フィルムから出し、アルミホイルの上でハサミやカッターで指示されたサイズにカットします。1/2量の場合は斜めに切りましょう。残った分は処分します。

2 先端に丸みをつけて入れる

先端のとがった部分を手で少し温め、丸みをつけてから肛門にすばやく入れます。ベビーオイルなどをつけてすべりをよくしてもいいでしょう。

3 しばらく肛門を押さえる

坐薬を入れたら、指でしばらく押さえます。このとき、指で薬を肛門の中まで押し込むようにすると、すぐに出てきてしまうのを防げます。

●坐薬を入れるときのコツ

下痢のときはティッシュなどで押さえる

下痢ぎみのときは、坐薬を入れた刺激でうんちが出やすくなります。ティッシュペーパーを肛門に当て、30秒程度押さえましょう。そのあと坐薬が出ていないかどうかを確認してください。

泣いているとき、はしゃいでいるときはNG

子供が泣いたり、興奮ぎみにはしゃいだりしているときに坐薬を入れるのは難しいので、しばらく待って落ち着かせてから使うようにします。

坐薬の保管方法

坐薬は常温だとやわらかくなりやすいので冷蔵保存が基本。処方されたときの袋に入れたまま、密閉容器や密閉袋に入れて冷蔵庫に入れます。

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一部画像出典:「0~6才はじめてママ&パパの病気とホームケア」(主婦の友社)

文/小沢明子

監修
鳥海佳代子先生
とりうみこどもクリニック副院長
島根大学医学部卒業。島根県や千葉県の小児科に勤務後、2010年に夫とともにとりうみこどもクリニックをオープンさせる。カラフルな診療着とおおらかでやさしい人柄が、患者さん親子に人気のママドクター。
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