発達への影響は?気になるスマホ育児の最新情報

 専門家監修
公開日:2018/04/28
発達への影響は?気になるスマホ育児の最新情報
監修
七海 陽
相模女子大学子ども教育学科准教授

ママ友とのLINEのやりとりやSNSチェック、予防接種スケジュールの管理、卒乳の方法をネット検索……。スマホは、育児ライフにも深く根づいています。ママが毎日手にしている不思議なモノに赤ちゃんは興味津々で手を伸ばしますが見せてもいいものなのかどうか、迷いますね。スマホと赤ちゃんの発達との関係は? いまわかっていることを、お伝えします!

[Baby-moママ100人にアンケート]

「あまり見せたくない」と思っているママが多数

3ケ月~2歳の赤ちゃんを持つママ100人に、スマホ育児について聞きました。ほとんどのママにとって、スマホはもはや「日用品」。親が見ているものに赤ちゃんが関心を示すのは自然なことですが、赤ちゃんにスマホを見せることについては、慎重な姿勢が目立ちます。

Q 子どもにスマホを見せている? 見せていない?

見せている75%
見せていない25%

4人に3人が見せています。ぐずり対策で見せる人が多く、圧倒的多数が「YouTubeの動画を見せる」と回答。

Q 1日にどのくらい見ている?

ママは平均125.8分
ベビーは平均17.6分

赤ちゃんは数分~30分がほとんど。ママはほとんど見ない人から5時間程度まで、幅がありました。

Q 気になることは(複数回答)

視力が悪くなりそう…60人
脳や知能の発達に影響するのでは?…43人
スマホ依存にならないか…18人
その他…8人

視力や発達への悪影響、スマホ依存への不安のほか、電磁波の影響を心配する人もいました。

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スマホ育児についていま、知っておきたいことって?

赤ちゃんのあやしグッズとして、スマートフォンを使うママも多いでしょうが、気になるのが発達への影響です。
「スマホのタッチスクリーンは小さな指でも扱いやすく、目に近づけて操作できるので焦点を合わせるのもラク。赤ちゃんが使いやすいツールです。スマホを見るとさわりたがる赤ちゃんは多いですね」と七海先生は話します。
でも、スマホがこれほど普及したのは、ここ何年かのこと。赤ちゃんの脳や心の発達にどんな影響を与えるのか、実はよくわかっていないそうです。そしてまた、影響がよくわからないからこそ、無制限にスマホにふれさせて将来後悔することにならないようにしてほしい、と七海先生は言います。

3歳過ぎなら知的に刺激される可能性も

七海先生もメンバーになっている『子どもたちのインターネット利用について考える研究会』では、幼児をデジタルメディアにふれさせるときに注意してほしいことや、利用の目安、基準などをチェックリストにしています。科学的な根拠になる研究は限定されていますが、国内外の文献や米国小児科学会の提案などをもとに作成されました。

「ただし、このチェックリストの対象は3~6歳。0~2歳のスマホ利用を否定しませんが、一般に、好ましい影響よりも弊害のほうが上回る傾向があり、3~6歳の幼児期よりももっと慎重な対応が求められると考えるからです」

3歳を過ぎるころには、受け取った情報を理解し、それを遊びに発展させる力が備わってきます。
「ままごとなどの見立て遊びやごっこ遊びができるようになるのが3歳半ごろ。そうした力が育ってからなら、子どもの理解を深め、視野を広げるのに、スマホが利用できるでしょう。でも0~2歳の時期は、スマホからの刺激を受け取るだけになっているかもしれません」

【子どもネット研が発表した目安(3~6歳の未就学児)】

□寝る前の1時間は見せない
□1回あたり15分、1日1時間未満に
□動画やゲームなど、受け身で終わる利用は減らす
□子ども一人で使わせない
□リビングなど、親の目の届く場所で使う

小さい子どもにとっては、日常の中で見るもの、聞くもの、さわるもののすべてが新しい学びの材料です。さまざまな体験をさせてあげましょう。新しいテクノロジーにふれさせるのは、そうした経験をしっかり積んでからでも大丈夫です。

「集中している」のではなく「固まっている」だけ

スマホ画面を熱心に見つめる赤ちゃんを、心配する人もいます。
「赤ちゃんは新しい刺激にふれると、それに注目する特徴があります。ジーッと見つめるのは“集中している”のではなく、刺激から“目が離せない”というのが適当かもしれません」
スマホの内容を理解しているというよりは、金しばりのように身動きがとれなくなっているのかもしれない、というわけです。
「0~2歳は体や脳の土台をつくる時期。周囲の人とかかわる、自然にふれるなど、多くの体験が人としての土台を豊かに耕します。そうした体験の時間を削ってまでスマホを見せる必要はないと思いますよ」
でも、いまの時代、スマホと全くかかわらないというのは非現実的。
「電車の中でぐずったときなどに、短時間見せるぐらいは問題ありません。見せっぱなしではなく、『これはなにかな?』などと、大人がかかわりながらがいいですね」

スマホと赤ちゃんQ&A

Q 家族の写真には食いつくのに、ベビー向けの知育アプリには無関心です

A 知っている、親しんでいるものは赤ちゃんが安心できる

スマホの情報には、赤ちゃんにはふさわしくないもの、必要ないものもあります。そんな中で、知っているもの、親しみのあるものは、赤ちゃんが安心して見られます。家族の写真や動画をママといっしょに見るのは、赤ちゃんにとってとても楽しく、大事なひとときだと思います。

Q 積極的に知育アプリを見せたほうが賢くなりそうだけど

A スマホの世界よりも実体験のほうが大切です

赤ちゃんにとっては日常生活のすべてが学びの場で、五感をフル稼働して、周囲の情報をキャッチし、学習しています。たとえば、「転んでひざをすりむくと、血が出て、痛い」など、さまざまな体験から、ものごとの成り立ちや仕組みなどを学ぶのです。スマホのアプリは人間が頭で考えたもの。刺激としては偏りがあり、赤ちゃんをとり巻く環境そのものが体験を通して教えてくれるものには、かないません

撮影/松木 潤(主婦の友社写真課)

出典 :Baby-mo2017年秋冬号※情報は掲載時のものです

監修
七海 陽
相模女子大学子ども教育学科准教授
白百合女子大学文学部児童文化学科卒。1990年富士通(株)に入社、2002年フリージャーナリストに転身、浜松大学専任講師、相模女子大学専任講師を経て、13年より現職。「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」のメンバーでもある。

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