赤ちゃんのむし歯を予防する方法は? いつから始める?


倉治ななえ先生
テクノポートデンタルクリニック院長
赤ちゃんにかわいい小さな歯が生えてきたら気になるのがむし歯のこと。乳歯をむし歯から守ってあげたいけれど、どんなふうに予防すればいいの? いつから歯みがきを始めればいいの?…などママの気がかりは多いもの。そんな赤ちゃんのむし歯予防について、まるっと解説します!
赤ちゃんはいつからむし歯になるの?
赤ちゃんは一般的に生後6ヶ月ごろから歯が生え始めます。実はこの生え始めの乳歯はエナメル質や象牙質が薄くて、むし歯になりやすい特徴があるんです。むし歯になってしまうとむし歯菌が出す酸であっという間に進行! すると口の中にむし歯菌が増え、永久歯もむし歯になりやすくなり、また乳歯にむし歯ができると痛みを避けてかむクセがついて、あごの成長が不十分で歯並びが悪くなってしまうこともあります。
乳歯は永久歯に生え変わるまでしか使いませんが、将来の健康や顔立ちにまで大きな影響を与えるので1本でも生えたら歯みがきをスタートしましょう。
むし歯の進行例
(写真左)表面のエナメル質が溶けて、初期むし歯になった乳歯。歯の根元の部分が白濁しています。
(写真真ん中)白濁が進んで象牙質に穴(左から2本目と3本目の間)が開いた、中程度のむし歯です。歯が茶色く見えたら歯科を受診しましょう。
(写真右)象牙質から歯髄まで進んだ重度のむし歯。抜歯や神経を抜くなどの治療が必要になるケースもあります。
(写真提供・倉治ななえ先生)
赤ちゃんがむし歯になる理由ってなに?
もともと赤ちゃんの口の中にはむし歯菌は存在しません。むし歯菌は食べ物の口移しやだ液を通じて感染します。なかでも注意したいのが、悪玉むし歯菌のミュータンス菌。むし歯菌が感染しないように、赤ちゃんとのスプーンの共用、ペットボトルの回し飲みなどは避けてください。
また、ミュータンス菌などのむし歯菌は、食べカスなどでできる歯垢(プラーク)の中に存在します。そのため、プラークがついているときに母乳を飲むと、母乳に含まれる乳糖はむし歯の原因になってしまいます。プラークは歯みがきにより取り除くことができるので、夜中の授乳や添い乳をするときは歯みがきしてからにしましょう。
キスが原因でむし歯になるの?
むし歯は食べ物の口移しやだ液を通じて感染すると説明しましたが、キスも同様にむし歯の原因になります。キスは赤ちゃんへの大切な愛情表現のひとつですが、赤ちゃんの口への濃厚なキスを避けることでむし歯菌の感染のリスクを減らすことができます。
赤ちゃんをむし歯にさせないために親ができる対策法は?
歯が8本までなら、抱っこでササっとみがくのがおすすめ。赤ちゃんの腕をママのわきにはさんで固定します。抱っこだと奥歯や歯の裏が見えにくいので、歯が増えたらあおむけに寝かせてみがきましょう。
乳歯が1本でも生えてきたらむし歯になるリスクがあるので、最初の1本から仕上げみがき用の歯ブラシを使って歯みがきをスタートさせることがむし歯予防になります。
歯の生え始めの時期は、ちょうどなんでも口に入れたがるのでここで歯ブラシに慣れてしまえば、これから先の歯みがきケアも抵抗なく受け入れられやすくなります。
仕上げみがきは、最初のうちは1日1回、赤ちゃんの機嫌のいいときに始めます。慣れてきたら、朝晩2回にふやしていきます。奥歯が生えてきたら、特に就寝前の歯みがきはていねいにしましょう。
また、歯ブラシはママが使う「仕上げみがき用」と赤ちゃんが自分でカミカミする「自分みがき用」の2本を準備します。赤ちゃんはまだ自分でみがくことはできませんが、将来自分でみがくための練習になります。赤ちゃんの自分みがきのあとは、大人がしっかり仕上げみがきをしてあげましょう。
仕上げみがき用の歯ブラシは、ママの手に合った柄の長さで、ヘッドが小さく、毛先はやわらかく、短いものを選びましょう。
自分みがき用歯ブラシは、赤ちゃんがにぎりやすい柄で、ヘッドがやわらかく、かんでもへたらない素材、のどつき予防のストッパーがあるものが◎。
赤ちゃんがイヤがらない 仕上げみがきの基本
歯ブラシはえんぴつ持ち
えんぴつを持つようにすると、ムダな力がかからず赤ちゃんは痛くありません。歯ブラシをママの爪の生えぎわにあて、くすぐったいくらいの力加減を目安にみがきます。
1~2本のうちはかぶせみがき
歯ブラシの毛を1本の歯全体にかぶせて、クルクルと回転させてみがきます。1本につき3秒くらいでOK。
3本以上の歯が生えてきたら、直角にあてて全部の面をみがく
奥歯は前歯に比べて立体的。面が多い形です。歯ブラシを各面に直角にあて、奥の表面をまんべんなくみがきます。
下の歯をみがくとき
歯ブラシを持つ手の小指と薬指をあごのラインに沿わせるようにして固定し、もう片方の手で赤ちゃんの口をそっと広げます。
下の奥歯をみがくとき
歯ブラシを持つ手の小指と薬指を赤ちゃんの下あごに固定し、もう片方の手で赤ちゃんの口をそっと広げます。
上の前歯をみがくとき
歯ブラシを持つ手の横を赤ちゃんのほおに添わせるようにして固定。反対の手の人さし指で赤ちゃんの上唇小帯をガードします。
ちょこちょこ間食せず、正しい食習慣を身につけることも重要!
むし歯を予防するなら、歯みがき以前に正しい食習慣も重要なポイントです。食事をすると口の中は酸性に傾き、歯が少し溶け出しています。それでも時間がたつと、だ液などの働きで中性に戻り、溶け出した成分も元に戻ります(再石灰化)。しかし間食が多く、中性に戻る前に次の食べ物が口に入ると、再石灰化が追いつきません。口に食べ物が入っていない時間をできるだけ長く保ちましょう。
もし赤ちゃんがむし歯になってしまったらどうしたらいいの?
赤ちゃん時代にむし歯になってしまうことは少ないですが、万が一、赤ちゃんがむし歯になっても、赤ちゃんは言葉で歯の痛みを伝えることはできないので、むし歯の発見が遅れてしまう可能性もあります。
そのため、1歳半健診で歯医者さんに診てもらう前に、歯が生えてきたらかかりつけの歯医者さんを見つけておくと安心です。歯のプロに、赤ちゃんの成長過程を見守ってもらえればママも心強いもの。歯みがき指導もしてもらえ、むし歯予防になるフッ素塗布やシーラント(奥歯の溝をプラスチック樹脂の一種でうめる処置のこと)もしてもらえます。
赤ちゃんがむし歯になったら歯医者に行くべき?
赤ちゃんが万が一、むし歯になってしまったら歯医者さんで治療してもらう必要があります。乳歯はむし歯の進行が早いので、むし歯に気づいたら早めに歯医者さんを受診しましょう。
ただ、なによりもむし歯にさせないことが肝心です。日ごろから朝晩2回の歯みがきと正しい食習慣を心がけましょう。そして、定期的にかかりつけの歯医者さんで赤ちゃんの歯の成長を診てもらうのもおすすです。
出典:Baby-mo
文/吉川恵美子
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倉治ななえ先生
テクノポートデンタルクリニック院長
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