「職場へ…、子どもへ…、申し訳ない気持ちも自分次第で変えられる」花王 大橋美生さん【ワーママ1年生におくるコトバvol.03~前編】

コラム
公開日:2017/07/27
更新日:2017/08/04
「職場へ…、子どもへ…、申し訳ない気持ちも自分次第で変えられる」花王 大橋美生さん【ワーママ1年生におくるコトバvol.03~前編】

家事・育児・仕事を両立させている母親=ワーキングマザー。言葉で言ってしまえば簡単なその『両立』は容易いことではなく、その両立に困惑しているワーママが増えているのも事実。育児も仕事も中途半端なことに悩み、朝起きた瞬間から時間に追われ、夜も熟睡できないまま、日々戦っています。出産前との時間の使い方のギャップに、実は一番戸惑っているのは当事者であるワーキングマザーたちかもしれません。Millyはワーキングマザー応援企画として、仕事復帰したばかりのママやこれから復帰を考えるママに向け、最前線の場所にたって働く先輩ワーキングマザーが本音を語る「ワーママ1年生におくるコトバ」をスタートしました。第2回目は小学2年生の男の子の1児の母親でありながら、花王のPRとしても活躍する大橋美生さんにお話をお伺いしました。

「夕飯の用意っていつしてる?」そんなことまで質問していた、ワーキングマザー1年生時代

「全然バリバリ働いていないし、ゆるっとしているので、私の話を読んでいただいて参考になるかどうかが心配です……」

大橋さんの話は、いきなりそんな謙遜の言葉から始まりました。大橋さんの職場復帰は7年前。長男はもう小学校2年生になっています。ワーキングマザーが増え、育休取得が浸透してきている現在と違い、仕事と育児の両立は大変だったのではないでしょうか。

「幸か不幸か、出産が遅かったので(笑)、社内に先輩ママがいたのは助かりました。ちょうど同じ時期に出産して先に復帰していた仲のいい後輩がいたんです。だから本当にどんな小さなことも相談して、アドバイスをもらっていました。例えば、『洗濯って朝と夜、どっちにしてる?』とか『夕飯の用意っていつしてる?』とか。仕事のことならわかるのに、ママ1年生は本当にわからないことだらけでしたね」

今は洗濯や掃除用品のPR担当のリーダーとしてお子さんを育てながらバリバリ働いている大橋さんですが、復帰当初は1カ月の半分くらいしか出社できなかった日々があったとか。

「復帰してすぐ子どもが体調不良になることが多く、保育園から呼び出されることもしょっちゅうで。このまま本当にやっていけるのかな。家事はどう回していけばいいのかなと、小さなことに迷ってばかりでした。生活のペースがようやくつかめたのが、復帰して3カ月くらいたった頃だったかなと思います。ちょうど異動が決まったんです。ところが引き継ぎして、いよいよ着任という日、保育園から呼び出しがあって。このタイミングか!って。あるあるですよね(笑)」

何のために働いているのか……問い続けた

学生時代からやりたかったマーケティグの仕事につき、ずっと働いていこうと決めていた大橋さん。でも予測のできない育児が始まってからは、そんな大橋さんの心が揺れる日々が始まりました。

「冬の寒い日、保育園に迎えに行くと、子どもが泣いて泣いて、しがみついて離れなかったことがありました。寒いし暗いし、こんなに泣いて求めている子を置いてまでする仕事なんだろうかって、私も泣けてきちゃって。働く意味ってなんだろうと何度も自分に問いかけたけれど、結論は出ないまま。というより、その悩みにじっくり向き合う時間もなく、『あと1日頑張ろう』『まだやれる、もう1日頑張ろう』とその繰り返し。でも子どもが3歳くらいになって気づいたら、もうその問いは自分にしなくなっていたんですよね。子どもって必ず成長するし、自分も慣れていく。いつの間にか子育てしながら働くのが当たり前になっていたんです」

大橋さんの中で、仕事を辞めようという選択肢が一度も出てこなかったのは、同じ部署で働く先輩ママたちの影響も大きかったようです。先輩たちがみんな口をそろえて大橋さんに言ったのは、「仕事を続けていてよかったって思う瞬間が必ず来るから、絶対に続けたほうがいい」という言葉。保育園から呼び出しがあり、申し訳ない気持ちでそれを伝えたとき大橋さんを救ってくれたのも、先輩ママの言葉でした。

「『大丈夫よ、みんな同じ経験をしてきたから。3歳過ぎると本当に丈夫になって休まなくなるから。今だけよ』と言ってもらえて。その言葉は本当にありがたくて、大丈夫、という言葉を素直に受け止めました。職場復帰するママはみんな同じだと思いますが、どうしても職場への申し訳ない気持ちと、子どもを預けることへの後ろめたさと罪悪感がぬぐいきれないことってありますよね。でもそれは、自分自身の問題だったんだって、今ならわかります。自分が勝手に申し訳なく思っていて、後ろめたく思っているだけ。もちろん、職場に迷惑をかけているという事実はあるから、感謝の気持ちは絶対必要です。でも、助けてくれる人がいたら、素直にお願いする。『大丈夫』と言われたら、素直に言葉通り受け止めて、言葉の裏は読まない! 行間を読まない!」

人それぞれの働き方や価値観があると思えたら楽になった

本当はどう思っているんだろう、今の言葉の意味はなんだろう。復帰するとつい気兼ねして、周囲の人の振る舞いや言動が気になることもあります。でも、人それぞれいろいろな働き方や価値観がある。人は人、自分は自分と思えるようになってから、とても楽になったと大橋さんは言います。

「人にどう思われても、自分と家族が心地よければ良し、としています。仕事はきちんとやりますが、子どもがいる人いない人、介護をしている人、体調が悪い人などいろいろな人がいて、それぞれの立場で働いている。大切なのは働いている時間の長さではなくて、何をしているかなんだって今は思えます」1日は24時間しかなく、子どもと一緒にいられる時間は限られています。その中で職場復帰したときから大橋さんの中で揺るがずにあるのが、「子どもが第一」という思い。「仕事は組織の中で行われているので、1人抜けたから回らないということはあまりありません。職場では自分の代わりはいるけど、この子の母親は自分しかいないし、子どもが必要な存在として自分を求めてくれていると思うと、それに応えようという気持ちになれます。……なんて言っていますが、家にいるとき仕事の電話がかかってくると、子どもに『しーっ!』なんて言っちゃうんですけど(笑)」

後編へつづく)

花王株式会社 大橋美生さん 1993年花王株式会社に入社し、洗濯・掃除用品のマーケティングを担当。2009年に長男を出産後、2010年に職場復帰。現在は、商品広報センターにて洗濯・掃除用品のPRを担当。

撮影/黒澤俊宏(主婦の友社写真課) 取材・文/樋口由夏

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