母乳育児の「気になる」を解決! いいおっぱいが出る方法&トラブル時の対処を紹介!

 専門家監修
公開日:2017/06/20
更新日:2018/10/26
母乳育児の「気になる」を解決! いいおっぱいが出る方法&トラブル時の対処を紹介!
監修
渡辺とよ子先生
わたなべ医院 院長
監修
浅井貴子さん
助産師・マタニティアロマセラピスト

赤ちゃんにとって最適な栄養や、免疫成分が含まれている母乳。産後すぐからスタートする母乳育児に関しては、さまざまな不安や疑問がつきものです。ここでは、母乳が作られる仕組みから、いい母乳を作るためにママが心がけたいこと、おっぱいトラブルの対処法まで、母乳に関する基本知識を説明。健やかな母乳育児のためにぜひ参考にしてくださいね。

そもそも母乳って産後すぐに出るもの?

お産をしたら、直後からすぐに母乳が出ると思っているママが多いのですが、全員がスムーズに母乳を出せるとは限りません。母乳の出には個人差があり、それは赤ちゃんの吸う力とも関係しています。特に産後2~3日は、出なくても不思議ではありません。

分娩後に胎盤が出ると母乳を分泌させるホルモンが働き始め、母乳が作られます。その後、赤ちゃんが吸う刺激によって、母乳は外に出てきます。つまり、吸う→出る→吸うというママと赤ちゃんの共同作業によって母乳は生産されます。ですから、赤ちゃんが上手に吸うことができない出産直後は、母乳もスムーズに出ないことが多いのです。

母乳はこうして作られる! 母乳が出る仕組み

1 全身から乳房へ血液が集まり、血液中の母乳を構成する成分が、乳腺小葉と呼ばれる部分で母乳となります。この成分には、病気から身を守る抗体や、母乳にしか含まれない特別なたんぱく質などが含まれています。

2 乳腺小葉で作られた母乳は乳管を通って、一時的に乳管洞にたまります。乳頭には母乳が出てくる穴(乳管口)が10個くらいあいていますが、この状態では分泌されません。

3 赤ちゃんが舌とあごを使って、乳首をしごきならが吸うことで、乳管洞にたまっていた母乳が分泌されます。赤ちゃんが吸う刺激により、母乳を作る働きをするホルモンが脳から放出され、母乳が継続的に作られます。

母乳育児がうまくいくポイント1 水分をしっかり&栄養バランスのいい食事をとる

母乳の約90%は水分です。赤ちゃんが母乳を吸えば吸うほど、母体からは水分が失われます。大人は、ふだんでも1日約2リットルの水分を必要とします。授乳中のママには、それ以上の水分が必要です。ビタミンやミネラルも母乳に影響するので、野菜たっぷりのみそ汁やスープなど、汁けの多いものを献立に加えましょう。

また、栄養の偏りにも注意が必要です。肉やバターなどの動物性脂肪を多くとると母乳がドロッとして、乳腺が詰まることも。摂取する脂肪の種類に注意しましょう。脂肪はできるだけ魚からとるようにして、調理にはオリーブ油を使うのがおすすめ。魚や豆腐など良質のたんぱく質をしっかりとり、栄養のバランスを保ちましょう。

母乳育児がうまくいくポイント2 早寝早起きで睡眠をしっかりとる

赤ちゃんが生まれた直後は昼夜を問わず授乳する日々が続きますが、少しずつ、生活リズムを作っていくようにしましょう。昼間は活動モード、夜はお休みモードとメリハリをつけると、ママの体調がよくなり、母乳の出もよりスムーズになります。だんだん赤ちゃんの授乳リズムも整ってくるので、ママは体や心のストレスを感じることが減り、母乳育児を楽しめるようになります。

母乳育児がうまくいくポイント3 適度な運動で血行をよくする

母乳の分泌を良くするためには、十分な休息と睡眠が必要なのと同時に、心身のリラックスも大切です。適度に体を動かしてストレスを解消し、血液循環をよくすると母乳の出もよくなります。授乳の姿勢は腰や肩に負担をかけるので、家事の合間に背中や腰の筋肉を伸ばしたり、腰をゆっくり回すなどのストレッチをしてみましょう。

母乳を赤ちゃんに飲ませるときのコツ

1 赤ちゃんに語りかけ&目を見つめながら

母乳の分泌は、赤ちゃんに吸われる刺激だけでなく、ママの気持ちにも左右されます。テレビや携帯電話を見ながら義務的にあげるのではなく、赤ちゃんに話しかけながら、ゆったりした気持ちで授乳すると、母乳の出もよくなり、赤ちゃんの飲みもよくなります。

2 クッションなどを使い、ママの体に負担がかからないように

授乳は両方のおっぱいが終わるまでに、だいたい30分程度かかります。クッションや椅子でひじや体を固定すると時間がかかっても疲れず、授乳しやすくなります。無理な姿勢で授乳を続けると、腰や手首などにも負担がかかるので注意しましょう。

3 乳輪までしっかりくわえさせる

授乳の際は、乳輪までしっかりくわえさせます。「乳首をふくませる」といいますが、乳首の先だけ吸っていても母乳は出てきません。乳輪までくわえた赤ちゃんの唇が、アヒルの口のように外にめくれぎみになっているのが正しい形。唇が内側に入り込んでいないか、舌の上にきちんと乳首がのっているかどうかもチェックしましょう。

おっぱいにしこりができてしまっときの対処法

母乳の出はいいのに赤ちゃんの飲み方がまだじょうずではない時や乳管口がまだ十分に開いていない時などに、乳腺や乳管の一部に母乳が詰まって、しこりのように感じることがあります。しこりができて痛いときは赤ちゃんにまめに飲ませたり、マッサージをして対処しましょう。

対処法1 赤ちゃんに母乳を飲ませる

いちばんの対処法は、赤ちゃんに飲んでもらうことです。痛みが強いですが、飲ませないでいるとますます悪くなります。これまでとは違う抱き方にして、いろいろな方向から飲ませるようにしましょう。

対処法2 しこり圧迫法のマッサージをする

おっぱいが痛い時は、かたくしこりができている部分を手のひらで圧迫してしこりを散らすマッサージが効果的です。痛みが出る前であっても、しこりができたらしてみましょう。

しこりの部分に小指のつけ根の下、手首のすぐ上の手の腹を当て、しこりを背中のほうへグッと押します。この時、しごかないようにしましょう。あくまでもしこりを押して散らすイメージで行います。

はれて痛みが我慢できないときは母乳外来へ

ひどくなると、おっぱいの痛みに加え、38度ほどの発熱、悪寒や鼻づまりといった、かぜに似た症状が出ます。このような時や痛みががまんできない時は、早めに受診を。抗生物質が処方されたり、化膿している場合は切開してうみを出したりすることがありますが、授乳はできます。

乳腺炎防止のためにも授乳後は搾乳して冷凍保存を

授乳後、乳房に母乳が残っていると、次の母乳が作られにくくなったり、乳腺を詰まらせて乳腺炎の原因になったりすることがあります。そんなトラブルを防ぐために、授乳後は搾乳をしておきましょう。搾乳した母乳は、衛生的に保管しておけば、哺乳びんに移して赤ちゃんに飲ませることができます。

搾乳した母乳は、哺乳びんにとるか、市販の保存専用の容器へ。保存の目安は、冷蔵で24時間以内、冷凍で1カ月以内です。冷凍保存した母乳を使うときは、自然解凍か流水で解凍をしましょう。一度解凍した母乳の再冷凍はNGです。

母乳っていつまであげるものなの?

ママの都合や考えでキッパリ授乳を止めるのが「断乳」。卒乳は、より自然におっぱいとサヨナラすることをいいます。卒乳できる条件は、①1日3回の離乳食をしっかり食べていること、②一人歩きができていること、③牛乳が飲めること。一人歩きができるのは、母乳を離れても大丈夫なレベルに体が成長したということ。3回の食事がとれ、牛乳が飲めていれば、卒乳しても問題ありません。卒乳は「いつまでに」と決まったものではなく、ママと赤ちゃんが「もういいかな」と思ったときにするもの。2人の気持ちを優先しながら、「2才を目安に卒乳できればいい」と考えましょう

アドバイス 横浜女子短期大学 保育科准教授 曽根眞理枝先生 栄養管理士。専門は小児栄養学。離乳食の進め方など、乳幼児の食生活に関する研修の講師をつとめるほか、食育推進にも力を注ぐ。

出典 :母乳育児 ミルク育児の不安がなくなる本※情報は掲載時のものです

出典 :Baby-mo(ベビモ)2017年夏秋号※情報は掲載時のものです

監修
渡辺とよ子先生
わたなべ医院 院長
札幌医科大学医学部卒業。都立築地産院新生児科部長、都立墨東病院新生児科部長、同病院副院長をへて、2014年に医療法人社団わたなべ医院に赴任。2016年よりわたなべ医院本院院長。日本麻酔科学会専門医、日本周産期新生児学会功労会員、日本新生児生育医学会功労会員、日本周産期新生児医学会周産期新生児専門医元指導医。多くの乳幼児をみてきた経験による、的確で親切な助言が好評。これまで『母乳育児 ミルク育児の不安がなくなる本』(主婦の友社)など監修に携わった育児本多数。


医療法人社団わたなべ医院
監修
浅井貴子さん
助産師・マタニティアロマセラピスト
大学病院、未熟児センター勤務ののち、現在は母親学級、育児相談、新生児訪問などを行う。「プレママ★アロマ教室」のほか、マタニティ専用サロン、ベビーマッサージ教室なども主宰。

あなたにおすすめ

注目コラム