同時接種に副反応…もっと知りたい、赤ちゃんの予防接種のこと

コラム
公開日:2014/03/01
更新日:2016/09/26
同時接種に副反応…もっと知りたい、赤ちゃんの予防接種のこと

赤ちゃんの予防接種には「定期接種」と「任意接種」とがあります。任意とあると受けなくてもいいの……?と思いますが「赤ちゃんにとって受けなくていい予防接種はひとつもありません」とは、横田小児科医院院長の横田俊一郎先生。接種スケジュールは忙しいけれど、今、ワクチンがあるものはぜひ接種してほしいとのこと。赤ちゃんの予防接種について、同時接種や副反応なども含めくわしくお伝えします。

なぜ定期接種と任意接種があるの?

横田先生Kさん:ロタウイルスの予防接種は、1回15,000円と言われました。2回受けたら3万円ですよ。

横田先生:そうですね。ほんとうは、国家の政策として考えるべきことなんです。ロタウイルスのワクチンは確かに高いのですが、年間何万人も入院したり治療を受けたりしている患者さんが予防接種でいなくなれば、国全体の財政としてはお得なはずなんです。ワクチン代より、入院費・治療費のほうが高いんですから。

Sさん:そんなに必要な予防接種なのに、なぜ全部が定期接種じゃないんですか?

横田先生:世界を見ると、予防接種に任意も定期もないという国が大多数。日本は予防接種の関連が疑われる事例が起きるたびに必要以上に慎重になってしまい、制度が遅れてしまった歴史があるんです。本当は、定期や任意の区分けはいらない。どの病気も「平等に」重篤になる病気です。

予防接種の対象は、特に症状が重くなる感染症

横田先生
横田先生:2014年の春から、ヒブと肺炎球菌、子宮頸ガンは、定期接種になる予定です。日本小児科学会は、水ぼうそう、おたふくかぜ、B型肝炎も定期にするように国に要望しています。それがなかなか実現しないのは、お金の問題ですね。定期接種は地方自治体が請け負うので、市区町村によっては予算が少なくて実施できない地域が出てしまうからです。

Kさん:でも、家庭のお財布だって厳しい。任意接種は、すごく料金が高いです!

横田先生:予防接種の料金は、ワクチン原価と診察料、技術料などを合わせて医療機関ごとに決めています。何回も受けるものもあるし、確かに厳しいですよね。

Sさん:無料なら絶対受けるのに。

Tさん:いますぐに無料化は、むずかしいということですね。でも任意接種は、いまあるものは全部受けたほうがいい、と。

横田先生:ぜひ、受けてほしい。感染症ってほんとうにものすごい数があるんです。だけど、そのほとんどにはワクチンがない。予防できないんです。いま予防接種の対象になっているのは、かかると非常に重い症状になったり、死亡することもある病気です。せっかくワクチンがあって予防できるのに、予防しないなんて、もったいない話なんですよ。

たくさんのワクチンを一度に打たなくても……?

Tさん

Kさん:でも、たくさんのワクチンを同時接種でと聞くと、赤ちゃんにそんなにいっぺんに打たなくても、と思っちゃいます。

横田先生:では、人間の免疫力のことをお話ししましょうか。赤ちゃんは、ほとんど無菌の状態で生まれてきます。でもあっという間に、腸の中には大腸菌や乳酸菌がすみつきます。呼吸したり、ごはんを食べたりするだけで、いろいろな微生物が体に入ります。だからといって、いちいち反応は起きませんよね?

Kさん:確かに。

横田先生:大丈夫なようにできている。それが免疫力です。ですから、予防接種で抗原となるものを3つ4ついっしょに入れても、毎日、何百、何千という異物に対応しながら生活していることにくらべたら、問題にならないんです。

Tさん:ふだんのほうがよっぽど、ということか。あ、いまもおもちゃなめてるし……。

予防接種は大事だとわかっていても、こわい

Kさん

横田先生:それにいままで世界中で、何十億人という赤ちゃんが同時接種を受けてきましたが、それで死亡率が上がったという報告はありません。海外の小児科医の言葉なんですが、「海に向かって塩を一握り投げて、それで海の水が辛くなるんじゃないかと心配するようなものだ」というたとえがあるほどです。

Tさん:それでも、やっぱり、もし死んじゃったら、と思うとこわいです。

横田先生:そうだね、気持ちはわかります。ところで、みなさんはSIDS(乳幼児突然死症候群)を知っていますか? 赤ちゃんがある日突然、原因不明で亡くなる病気です。

全員:はい。

横田先生:日本では、SIDSで年間約150人が亡くなります。この病気は生後2~3カ月から6カ月ごろに多いのですが、その時期は、ちょうどワクチン接種が始まるタイミングですね。ですから、SIDSで亡くなった赤ちゃんがたまたまその前に予防接種を受けていたということが、考えられるわけです。同時接種が日本でスタートしたのは最近です。同時接種したから死亡するケースがあるというなら、乳幼児の死亡率が上がるはず。でも、統計的にそうした兆しは見られません。

病気そのもののこわさと副反応とどっちをとる?

Tさん:日本脳炎の予防接種後に亡くなった赤ちゃんもいましたよね。

横田先生:この件も、ほかの疾患があったそうですよ。ワクチンとの因果関係も、注射による強いアレルギー反応もなかった、と。

Tさん:でも、熱が出たりすると不安で。

横田先生:副反応は、ワクチンに含まれる抗原そのものではなく、抗体をつけやすくするための成分の影響が大きいんです。体に入った病原菌自体がなにか悪さをして、はれたり、熱が出たりするわけではないんですよ。もちろん、副反応がないワクチンができればベストですが、かかったときの病気のこわさと、一時的な副反応と、どちらがよりおそろしいか、ということも考えてみてほしいんです。

横田俊一郎先生・写真

お話/横田小児科医院院長
横田俊一郎先生
東大病院小児科、社会保険中央病院小児科部長を経て、1993年より神奈川県小田原市で開業。わかりやすく、「ワクチンで予防できる病気」について教えてくれる先生です。
出典:Baby-mo(ベビモ)予防接種の疑問&気がかり【ママたちがほんっと〜に知りたいこと】
※情報は掲載時のものです。

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