「イクメン」がもたらす、2つの大きな効果とは?

コラム
公開日:2016/07/16
「イクメン」がもたらす、2つの大きな効果とは?

「イクメン」という言葉がすっかり世に定着し、育児に積極的にかかわるパパは年々増えているようです。実際、お父さんが育児をするとどんなイイコトがあるのでしょうか。長年多くの親子を見守り続けてきた、東京大学名誉教授・白梅学園大学学長・汐見稔幸先生にお話を伺いました。

日本のお父さんは昔から「イクメン」だった

最近は子育てに積極的に関わるお父さんが増え、「イクメン」という言葉が定着していますが、日本人はもともと父親が育児をする民族でした。肩車、竹馬、一緒にひなたぼっこ……江戸~明治時代に日本を旅したヨーロッパ人たちは、日本の父親が子煩悩であることに非常に驚いたといいます。
当時、農民の仕事は1日4~5時間程度。母親は妊娠・出産や膨大な家事で忙しく、授乳以外の育児はもっぱら父親の役割でした。産屋で共同出産も当たり前です。

パパの育児参加は子どもの成長に影響する!

しかし現代では、日本の父親の育児時間は欧米の3分の1程度と短く、育児休業の取得率も世界的にみて低いようです。明治時代に「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業が始まり、男性の長時間労働は当然という風潮は続いています。「家族を大切にしたい」と思いながら残業に追われる今のお父さんは、かわいそうだと思います。

でも父親が育児にかかわれば、母親は心身ともにとても助かります。お母さんの心が安定して、赤ちゃんにゆとりを持って接することができれば、じょうずにアタッチメント(赤ちゃんが生後まもなく特定の大人に対して形成する情愛的な結びつき)を形成できます。すると母子の関係が安定し、赤ちゃんの発育も順調にいき、知能や情緒の発達にもいい影響を及ぼします。

お父さんが育児休業をとる場合は、長くとらなくても、1週間でも、2回に分けてもいいのです。少し勇気を出して、柔軟に活用してください。産後すぐとは限らず、育児が大変な時期にとって夫婦で支え合ってもよいでしょう。

子育てが「お父さん自身のためになる」理由

これからの社会はグローバル化が進み、多様な人との共存が必要になってきますが、その最たるものが子ども。子どもと「マジでつきあう」ことで一番利益を得られるのはお父さんです。育児をすることで自分たちの働き方を相対化できたり、地域や社会をよりよくする担い手になれる可能性もあります。
「イクメン」なんて言われなくても、お父さんは育児に向いているのです。経済合理性など考えない子どもの気持ちがよくわかるし、「たかいたかい」など体を使う遊びも、お父さんのほうが得意だと思います。
妻や子どものためだけではなく、自分の生きがいのために子どもにかかわり、育児を楽しんでください。

お話/汐見稔幸(東京大学名誉教授・白梅学園大学学長)
東京大学教育学部卒、同大学院博士課程修了。東京大学大学院教育学研究科教授を経て、2007年4月から
白梅学園大学教授・副学長。10月より学長。専門は教育学、教育人間学、育児学。育児学や保育学を総合的な
人間学と考え、また教育学を出産、育児を含んだ人間形成の学として位置づけ、その体系化を課題と考えている。3人の子どもの育児に関わった体験から、父親の育児参加も呼びかけている。
出典:『新装版 0~3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す』

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