孤立感、母親としての自分を受け入れられない……。産後うつの原因って!?

コラム
公開日:2016/04/18
更新日:2016/10/31
孤立感、母親としての自分を受け入れられない……。産後うつの原因って!?

多くの赤ちゃんの健やかな成長と、ママたちが子育てに幸せを実感できることを目的に発足した、ピジョン「にっこり授乳期研究会」。先日行われたセミナーでは、授乳期のママたちが抱える不安や問題点について、ドクターや育児の専門家がアドバイス。産後3カ月までのママたちの大変さとはどういうものなのか、どんな点が大変なのかをお話いただきました。

赤ちゃんが泣いたら窓を閉める! ママを追い詰めるものは……

産院を退院したその日から、それまでとはガラっと変わる毎日の生活。とくに初産のママたちは、慣れない育児や睡眠不足で、めまぐるしく1日が過ぎていきます。そんなママたちを追い詰めるのが「孤立感」だと、NPO法人 孫育て・ニッポン理事長、NPO法人 ファザーリング・ジャパン理事などをつとめる棒田明子先生はいいます。

「産後のママたちにアンケート調査をしたところ、産後の不安感は、退院後が一番強いのですが、その後3カ月ごろまでが強いとわかりました。退院直後は1カ月くらい里帰りをするなど、祖父母からの助けがあり、パパも仕事から早く帰ってきて一生懸命家事・育児をしてくれることが多いんです。でも、徐々に祖父母のサポートが減り、仕事がたまってきたパパは残業をするようになり、ママがひとりで育児をするシーンが増えます。このころは外出もままならず、外へ出るといっても、近所のスーパーやコンビニくらい。いわゆる『お出かけ』というのはほとんどなく、宅配を利用している場合などは、一歩も外へ出ないことも珍しくありません。

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また、生後1カ月を過ぎると赤ちゃんの泣く力が強くなってきます。これもママたちへの調査でわかったのですが、泣き声が近所に響くと、『虐待通報をされてしまうのでは』と恐れ、赤ちゃんが泣き始めると『窓を閉める』ママも多く、こういったさまざまな要因でママの孤立感が高まっていきます。

授乳リズムがととのい、赤ちゃんの首がすわる生後3カ月くらいからは、多くのママがお出かけをするようになり、いろいろな人や施設で育児相談ができるようになります。しかしそれまでの間、産後のいちばんつらいときに、ママたちへのサポートが少ないことが大きな問題なのです」

母という自分を受け入れるためには、ママを助ける「人」が必要

「女性から母へ。妊娠中~産後の短期間におこる、すさまじい体と心の変化を受け入れ、乗り越えていくのが生後3カ月までの間です」とおっしゃるのは、聖マリアンナ医科大学 小児科学教室 新生児分野 名誉教授の堀内勁先生。

「妊娠・出産を通じ、夫婦はそれぞれ女性から母親、男性から父親へと、自分自身のアイデンティティが大きく変化します。女性の場合は、体の変化と同時に産後の赤ちゃんとの生活、自分が親になるイメージを広げて妊娠期を過ごし、それが妊娠32週くらいまで続きます。その後はその『空想の世界』がリセットされ、現実の『出産』へと意識を集中させるようになっていきます。

妊娠中は大きくなるおなかへ、産後は乳汁の分泌が始まる胸へ意識が向かいますが、こういった体の変化は、想像以上にアイデンティティを大きく揺さぶります。それをみんながすんなり受け入れられるかといえば、そんなに簡単なことではありません。では、なぜ受け入れ、克服できるのかというと、それは周囲のサポートがあるからです」

思ったより少ない? ママのサポートをしてくれるのは平均3.2

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ピジョン「にっこり授乳期研究会」の調査(※)によると、ママの育児の相談役や心の支えとなった人数は、平均3.2人と比較的少ないことが判明しました。その3.2人には、ほとんどのママが夫と実母を挙げていますが、医師や看護師などの医療従事者と答えた人はとても少なく、ママたちが産後、あまり医療従事者に頼っていない、活用できていないこともわかりました。棒田先生は、夫や実母以外にもサポーターの幅を広げることをすすめています。

「夫や祖父母を第一のサポーターとして頼りにするのはもちろんいいのですが、必ずしもそこが機能するかといえばそうじゃありません。最近は、民間や行政の育児・家事支援のほかに、友人やママの兄弟までサポーターを広げている人もたくさんいます。もし自宅までわざわざ来てもらうのは気が引けるなら、赤ちゃんの健診のあとに外でお茶するだけでも気持ちが違います。そんなふうに支えてくれる人も、妊娠中から見つけておけるといいですね。

はじめての妊娠・出産では、行政のサポートがあるのはわかっていても、何を利用して活用したらいいのか、よくわからないことが多いんです。病産院によっては産後の2週間健診を行っているところもあり、自分の通う産院になければ、近くの母乳外来や助産院などで受けることもできるので、あらゆるサポート体制を妊娠中に調べてほしいと思います」

「こんなに大変だとは思わなかった!」「赤ちゃんとふたりきりの昼間がつらい」。多くの新米ママたちは、日々母になった自分と向き合いながら赤ちゃんを育てています。ママの孤立感を解消し、女性から母親へと変わる心と体をケアしてくれるのは、やはり周囲の人々。「ひとりでやらなきゃ」と全部を抱えず、助けを得るのも上手な育児法のひとつだと思い、サポーターを増やしていきましょう。

ピジョン にっこり授乳期研究会ホームページ
http://www.smile-lactation.com/jp/

ピジョン
http://www.pigeon.co.jp/

※調査は0~5カ月の赤ちゃん(きょうだいの場合は一番下の子)がいて、母乳を直接あげたことがあり、現在授乳中のママ(日本全国1000人・中国全土250人・アメリカ全土200人)を対象に行われました。

取材・文/長澤幸代

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